新婚の頃のような"ラブラブ"状態を取り戻したくはありませんか?

長く結婚生活を続けていると、出会った頃のときめきや新婚の気持ちは、どこへやら。薄らいだのか、忘れたのか。パートナーへの好きという気持ちよりも嫌なところばかりが目についてしまい、いつもケンカばかり。少し前に熟年離婚というのが話題になりましたが、老後のことを考えて退職金が手に入ったら離婚しよう、子どもが成人したら離婚しよう。そんな声さえ、聞こえてきます。今回は、妻や夫への愛を復活させる方法を、化粧心理学者で大学では恋愛心理学の授業も担当している平松隆円さんに解説していただきます。

* * * * *

いろいろな国を調査したアメリカの人類学者ヘレン・フィッシャーは「愛は4年で終わる」という説を唱えていますが、特定のパートナーと長く一緒にいることは、とても難しいことなのかもしれません。だからといって、相手のことが嫌になったのなら離婚をすればいいじゃないかというと、そう簡単なことでもありません。もともとは好きで結婚したわけですから、できることならもう一度、冷めてしまった気持ちを取り戻したい。そう思う人も少なくないわけです。その場合は、一体どうすればいいのでしょうか。

"不公平"の継続が不仲にさせる

まず1つ目は、気持ちが冷めてしまった原因を取り除くことです。当たり前のことなのですが、実はその原因を理解している夫婦というのは意外といないのです。

人は、不公平だと感じるとそれが原因でパートナーとの関係を悪化させてしまいます。自分はこんなにしているのに相手は何もしてくれないというのも、反対に自分は何もしていないのに相手がたくさんのことをしてくれるというのも、どちらも不公平なのです。「私ばかり料理や掃除をする」「親のように世話をされてなんだか重い……」。この積み重ねが夫婦関係を悪化させ、気持ちを冷めさせるのです。

そのため、まずはお互いの不公平さを取り除くことが大事です。一般的には、男性が家事に関わることが少なく、不満につながっています。とはいえ、なかなか急に男性を家事に参加させるのは難しいもの。そんな場合は、「重くて持てないから代わりにゴミを出してきて」など、何かしら理由をつけて男性に少しずつ参加するように仕向けたらどうでしょうか。

男性には誰かを守りたいという養護欲求が強く存在します。「いまさら気持ち悪い」と思われるかもしれませんが、助けが必要なのだとさりげなくアピールすれば、必ず助けてくれるはず。それをきっかけに、家事への参加が継続し、習慣化されるようになると、次第に夫婦間での不公平も解消されてくるはずです。

「会話」を見直そう

2つ目は夫婦間のコミュニケーションです。関係が深くなればなるほど、会話がなくてもお互いへの信頼や愛情が高く維持されることが心理学的には明らかにされています。ですが、そういった関係を築くことは、長く連れ添った夫婦でも難しいものです。

夫婦といえども人間関係です。黙っていてもわかってくれると言うことはあり得ないのです。そこで大事なのが、日常的なコミュニケーション。どんなささいなことでもよいので、夫婦で会話をもつことが必要なのです。なにも、「会話するぞ! 」と意気込む必要はありません。朝のあいさつ、その日にあった出来事の報告、冗談やうわさ話など、無駄話でいいのです。あいさつや冗談は相手への親密さを伝え、その日にあった出来事の報告は、お互いについての理解を深め、相手の行動や考えを理解できることにつながるのです。

冷めた気持ちを取り戻すことは、実はささいなことの積み重ねでできるのです。ですが、そこにはある程度努力も必要です。当たり前という気持ちを捨てて、いい夫婦関係を取り戻してほしいものです。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。 NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。