スーツケースがなくなるロストバゲージは、結構よくある話

海外旅行先での思わぬトラブルでせっかくの旅行が台無し……という話は時折耳にする。そんなことにならないための対処法をトラベルライターが解説。今回は、ロストバゲージのお話だ。

機内で見たかった映画が見られた。機内食もおいしかったし、ゆっくり休めたし……とご機嫌でバゲージクレーム(荷物引き取り所)へ。が!!! 待てど暮らせどチェックインしたスーツケースが出てこない。ロストバゲージは旅の予定を狂わしてしまうハプニングの1つ。預けた荷物がどこかほかの場所に運ばれてしまったり、積み込み忘れられてしまうなどして行方不明になってしまうのがロストバゲージで、スーツケースに名前と住所を書いておけば後日無事に手元に戻ってくることも多いが、紛失されてしまうこともある。中でも往路でのロストバゲージは着替えがなかったり、女性なら化粧品がないなど、非常に困ってしまう。

代替品の購入費は返金されることも

こんなときは、チェックイン時に航空会社から渡されるクレームタグを持って航空会社に補償請求を。着替えや歯ブラシ、化粧品などちょっとしたもので必要と認められたものについては購入した分の領収書を提示すれば、料金を返金してくれる。航空会社の規定にもよるが、下着やひげそり、化粧水などのほか、洋服も認められることが多い。だが高級衣類などに関しては、いくら「あたくし、シルクのパジャマじゃないと眠れないのヨ」と主張しても必要とはみなされず、また金額の上限があることもあるので注意。

スーツケースが紛失されてしまった場合は、"預けたときの重量に対しいくら"などと航空会社規定で補償される。という建前ではあるが、どうしても会社が負担しようとしないケースも頻発しており、結構モメたという話もよく聞く。

というのも、実は航空会社はどんなに遅くとも目的地に届ければ義務を果たしたことになるため、完全にロスト(紛失)と決定されないかぎりディレイ(遅延)であると主張することができるのだ。だから、荷物が手元に届かないまま帰国ということになったりするとこれまた大変。日本に支社のない航空会社の場合は、海外の本社とやりとしなくてはならないなどかなりの手間がかかることもある。真摯な姿勢で対応してくれる航空会社も多いものの、経験上、そのとき応対した担当者の裁量によって結果が左右されるため、時には熾烈な交渉が必要になってくることもある。

航空会社がどうしても補償してくれない場合は、海外旅行傷害保険の携行品特約でもカバーされる。もちろん、先に保険に加入しておく必要があるが、ロストバゲージが免責となっているプランもあるのでよくチェックしておこう。

絶対に遭遇したくないロストバゲージだが、実は意外と頻繁に起こる。コンタクトレンズやメガネ、毎日必要な薬といった類いは、補償のあるなしにかかわらず現地で簡単に調達できないもなので、機内持ち込みの手荷物に入れておくのが無難。ちなみに、現金、宝石類といった高価なものは補償対象ではないため、スーツケースには入れないこと。パソコンやデジカメも同様で、ロストバゲージにならなくても盗まれたという話は枚挙にいとまがない。「貴重品は手荷物」が鉄則である。

ちなみに、帰国時のロストバゲッジは交渉相手が日本人の地上職員なので交渉はまだ楽かもしれない。加えて帰りの荷物が少なくて済んでラッキー、と考えることもできる。後日ちゃんと中身も無事に出てくれば、の話だが。