JR東海はこのほど、全国新幹線鉄道整備法に定める新幹線鉄道大規模改修引当金積立計画(以下「引当金積立計画」)の変更申請を国土交通大臣に対して行ったと発表した。2018年度の着工を計画していた東海道新幹線の土木構造物の大規模改修を前倒しし、2013年度から実施することとしたため、これにともなう措置となる。
同社の現行の引当金積立計画では、2002年から2017年にかけての15年間で5,000億円を積み立て、2018年度からの10年間で大規模改修工事を行うとしていた。改修工事の総額は1兆971億円とされている。
同社では工事に向けた積み立てを行う一方で、2002年より大規模改修の工法を研究。これにより、土木構造物の経年による変状の発生を抑止し、延命化を図る対策と部材取り替えなどの全般的な改修を実施する工法が開発された。新工法の採用により、工事実施時の列車運行への支障を大幅に低減できるほか、工事費の大幅な削減が可能になるとしている。
今回の変更申請では、積み立て期間を2013年3月31日までとし、当初予定より4年半短縮。積立金の総額は3,500億円となる。大規模改修の工期は2013年4月~2023年3月。鋼橋では床組接合部補強や支承部の取替え・補強により、橋桁の変状の発生を防止する工事を実施。コンクリート橋では鋼板による被覆を施し、コンクリートの中性化を抑制する対策工事を行う。工事費の総額は7,308億円で、当初予定より3割程度抑えられる見込みだ。