世の中のお父さんが切に願っているのは、「子どもから尊敬のまなざしで見てもらうこと」です。しかし、その道のりは容易ではありません。どっかで仕入れた心に残るいい話をしても聞き流されるだけだし、仕事の成果を自慢したところでウザがられるのがオチです。
手軽に、そして確実に尊敬してもらうには、いっしょに料理を作るのが一番。ふだん台所に立っていなくても大丈夫です。むしろ見慣れない姿に、子どもは驚きと期待を抱いてくれるでしょう。
では、尊敬のまなざしで見てもらうには何を作ればいいか。いきなり難しい料理に挑戦しても、収拾がつかなくなりそうです。
ここはやはり、昔取ったきねづかと言うか、ほとんどの人は作ったことがあるであろう即席めんを作るのがオススメ。大失敗する心配はないし、子どもと力を合わせながら作業できます。
いや、もちろんそのまま鍋で煮ただけでは、何のインパクトもありません。子どもだけでも作れますから、尊敬どころか哀れみのまなざしを向けられるでしょう。
狙い通りの成果を期待できるのは、即席めんを使った応用メニューです。 お子様受けしそうな具体的なメニューを学べるのが今まさに行われている「全日本育麺(イクメン)メニューコンテスト」。
メニューの募集はすでに終わっていて、現在は一次予選を通過した全国5ブロック計30組のメニューから、気に入った5つを選んで投票できるようになっています(2月10日まで、投票ページ)。
「父と子でチームを組んで、即席めんを使ったオリジナルメニューを募集します」という趣旨のコンテストなので、一次予選を突破したメニューは、いっしょに楽しく作りながら父親の威厳をさりげなく示せそうなものばかり。
例えば、ジャガイモとひき肉のあんかけを即席ラーメンにかけた「北海道ニセコだんしゃくのトロみそ麺」や、即席焼きそばを薄焼き卵でくるんでウインナーなどを突き刺した「やっほほほい!冒険いっぱい宝島オムソバ!」、リンゴをくりぬいて中にカップ焼きそばを入れた「ポムポムU.F.O」などなど、どれも斬新かつ大胆で、もちろんとってもおいしそうです。
子どもと相談しながら選ぶのも一興でしょう。
当たり前の存在である即席めんから、見る見るうちに想像を超えた新しい世界が広がっていく様子は、子どもの心に大切な何かを植え付けてくれるはずです。あたりまえの存在である父親を見直してくれるきっかけにもなる……かも。
楽しく作っておいしく食べたあとは、お父さんと子どもでお片付けもお忘れなく。面倒な役割を押しつけられたお母さんに「まったく、もうー!」と文句を言われたら、せっかく子どもから多少の尊敬を得たとしても、すべてが水の泡です。
■石原壮一郎 プロフィール
コラムニスト。おもな著書に『大人養成講座』『大人力検定』など。話題の料理男子ユニット「給食系男子」の一員でもある。「伊勢うどん友の会」を結成して、郷土の名物「伊勢うどん」の魅力を熱く太く発信中。