ラナ・ウォシャウスキー監督、アンディ・ウォシャウスキー監督、トム・ティクヴァ監督が24日、東京・六本木のグランドハイアット東京で行われた映画『クラウド アトラス』の来日記者会見に登場した。

同イベントに登場した左からトム・ティクヴァ監督、ラナ・ウォシャウスキー監督、アンディ・ウォシャウスキー監督

同作は、イギリスの作家・デヴィッド・ミッチェルのベストセラー小説に基づき映画化されたもの。恋愛的な要素だけでなく、ドラマや歴史、近未来SF、アクション、ミステリー、ファンタジーといったジャンルの境界線を超えた壮大なストーリーとなっている。同イベントに登場した3人は「前回の来日が本当に楽しかったので、今回は私の妻も連れてきました」(ティクヴァ)、「こんにちは、日本の兄弟の皆さん。日本に戻ってこれて嬉しいです」(アンディ)、「東京は大好きな街です。戻ってこれて嬉しいです」(ラナ)とあいさつ。続けて、映像化不可能と言われた原作に挑んだ理由について聞かれると「映画化不可能な小説なんていうものはないんです」とアンディが断言。続けて「不可能と言われたからこそ、撮りたいと思ったんです」(ラナ)、「かえってそこ(映像化不可能と言われたこと)に魅力を感じました」(ティクヴァ)と、その難しさがゆえ、3人の創作意欲をかき立てたことを明かした。

また、同作では演者が1人で6役をこなしているが、ラナは「どの俳優も楽しんで演じていましたよ」と笑顔で語り、「(この作品では)俳優たちが主役を演じたり、脇役を演じたり、様々な役を演じます。特にヒュー・グラントはこれまでの映画で主役が多かったため、今回脇役を演じることを非常に楽しんでいました」と現場での様子を伝えた。

最後に同作をどのように楽しんでもらいたいかと聞かれると「どんな芸術作品でも先入観をもって見るのは良くないと考えているので、白紙の状態で見てもらいたい」(アンディ)、「普段慣れ親しんだ映画の見方、いわゆる慣例があると思うんですが、私はそういう慣例が嫌いです。常に新しいアプローチをしようと考えています。なので、伝統や慣例に囚われないで(この作品を)見てもらいたい」(ラナ)、「この作品を見ることは音楽を聴く感覚に似ていると思います。トム・ハンクスがバイオリニストであり、ハル・ベリーがチェロを弾き、ヒュー・グラントがトランペットを吹き、ベン・ウィショーはドラムを叩く。そういうようなオーケストラだと考えてほしい。家のモニターで見るのではなく、ダウンロードをしてみるでもなく、ぜひ劇場で他の人と一緒にこの作品を経験してほしい」(ティクヴァ)とそれぞれ、この作品に対する想いを語った。

主演は、ともにアカデミー賞を受賞しているトム・ハンクスとハル・ベリー。さらにジム・ブロードベントをはじめ、ヒューゴ・ウィーヴィング、ジム・スタージェス、ペ・ドゥナ、ベン・ウィショー、ジェームズ・ダーシー、ジョウ・シュン、キース・デヴィッド、スーザン・サランドン、ヒュー・グラントなどが参加する。映画『クラウド アトラス』は、2013年3月15日、丸の内ピカデリーほか全国ロードショー。