デルが8日に発表した、17.3型ノートPC「Inspiron 17R」の新モデルは、従来モデルからCPUやOSをスペックアップ。Windows 8世代となった本機はシンプルな外観と構成だが、17.3型ワイドの大画面ながら最小構成で59,980円という非常にお手頃な価格が魅力だ。

この新「Inspiron 17R」シリーズは、構成の違いで「ベーシック」「プレミアム」「プラチナ」「プラチナ・フルHD」の4パッケージを用意。それぞれワンパッケージに近い構成ではあるが、パッケージによりOSやメモリ容量、CPUなどいくつかのパーツをカスタマイズできることがポイントのひとつだ。

今回は最もお手頃価格である「Inspiron 17R ベーシック」の試作機を触る機会を得たので、早速その実力をチェックしていこう。なお、記事中でも記載するが、試作機は、CPUやHDD容量が製品版とは異なっている。

Inspiron 17R ベーシック

■主な仕様   [製品名] Inspiron 17R ベーシック   [CPU] Intel Core i3-3227U(1.90GHz)   [チップセット]  Mobile Intel HM76 Express  [メモリ]  DDR3-1600 4GB(4GB×1)  [ストレージ] 500GB SATA HDD   [光学ドライブ] DVDスーパーマルチドライブ   [グラフィックス] Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵)   [ディスプレイ] 17.3型ワイド TrueLife HD(1,600×900ドット)   [OS] Windows 8 64bit   [直販価格] 59,980円(上記最小構成時)~  

外装は光沢感あるヘアライン加工

それではまず本機の外観からみていこう。本体は2012年6月に発表された「Inspiron 17R Special Edition」と同様、アルマイト加工のアルミボディを引き継いでいる。天板やキーボード面は光沢のあるヘアライン加工を採用し、ベゼル部や本体背面はざらつきのあるマットブラックだ。

1月8日に発表された今回の「Inspiron 17R」および、同時発表の「Inspiron 15R」の標準カラーはムーンシルバーだが、いずれもオプションで本体カラーを変更できる。「Inspiron 17R」ではプラス525円でインディゴブルー(青)とファイアレッド(赤)が選択でき、今回レビューする試作機はインディゴブルーのモデルとなる。

金属の光沢感も相まって、光の加減で明るくも暗くも見える、非常に色鮮やかな印象を受けるブルーだ。

「Inspiron 17R」インディゴブルー。天板やキーボード面も同じアルマイト加工のブルーカラーで統一されている

ベゼル部はフルフラットパネルではなく、若干浮き出ている

背面はマットなブラック

余計なボタンは排除 - シンプルなキーボード面

キーボード面は非常にシンプルで、左上の電源ボタンとキーボード、タッチパッドのみで構成されている。一般的なメーカー製PCに備えられているような、ワンタッチで省エネ設定ができる"ECOモード"関連のボタンや、音量ボタンなどは載っていない。

いささかシンプルすぎるきらいもあるが、個人的には多機能であるために多数のボタンが配されているよりは、ボタン数が少なく機能がシンプルな方が使いやすいと感じる。これは好みが分かれるところだろう。なお、音量調節や画面輝度などは一般的なノートPC同様ファンクションキーで操作可能だ。

キーボード面。ボタンは左上の電源ボタンのみで、非常にわかりやすい

キーボードはアイソレーションタイプでテンキーも備える。キーピッチやストロークは仕様書に記載していない。触った印象では、キータッチは国内メーカーのスタンダードA4ノートより若干軽く、ストロークは一般的な薄型Ultrabookよりは深く取られているようで、据え置き用ノートPCとして問題なく使用できると思われる。なお、試作機(下記の写真)は英語配列だったが、製品版では日本語配列のキーボードとなる。

気になったのはカーソルキーの配置。最手前側の列に省スペースにまとまっているので、特に「上」「下」キーが押しにくく、カーソルキーを多用する人は注意したい。

タッチパッド部。わずかに凹凸を付けた加工で、質感も良く指の滑りも良好

本機「Inspiron 17R」はタッチパネル非対応だが、その分大きめのタッチパッドを備えている。タッチパッドのカラーは本体に合わせた青色で、ざらつきのあるアルミ加工となっている。

クリックボタンは、天板やパームレスト部と同じヘアライン加工を採用。パッド部は特にひっかかりを感じることなく、指触りも滑らかに使用できる。

液晶は、解像度は1,600×900ドットのLED液晶ディスプレイ。「Inspiron 17R プラチナ・フルHD」では1,920×1,080ドットのフルHD液晶を搭載しているので、解像度が気になるユーザーは「プラチナ・フルHD」モデルを選択したい。

8MbpsビットレートのフルHD動画も滑らかに再生

それでは試作機のスペックをみていこう。試作機の仕様は、CPUがIntel Core i3-3217U(1.8GHz)、メモリが6GB。グラフィックスがIntel HD Graphics 4000(CPU内蔵)、ストレージが750GB SATA HDD。OSはWindows 8の64bitとなっている。製品版のベーシックモデルでは、CPUがIntel Core i3-3227U(1.9GHz)、ストレージが500GB SATA HDDとなり、若干仕様が異なっているので注意したい。

製品版ではBTOとして、OSでWindows 8 Pro 64bit、メモリで6GBを選択でき、今回の試作機はメモリが6GBとなる。

パワーの弱い印象のあるCore i3-3217U CPUだが、ビットレートが8Mbps、1,920×1,080ドットのフルHD動画を内蔵HDDから再生してみたところ、滑らかに再生された。また、YouTubeやニコニコ動画の高画質投稿映像も問題なく再生でき、通常の動画視聴で困ることは少なさそうだ。

また、Word、Excel、PowerPoint、Internet Explorerといった複数のソフトウェアを同時に使用しても、無理なくタスクをこなせていた。標準構成のメモリは4GBだが、6GBでも63,445円なので、手っ取り早くパフォーマンスを上げたい場合は選択しても良いだろう。

なお、メモリは、実は本体裏面から増設・換装することもできる。きょう体の仕様は全パッケージ共通なので、例えばCore i5-3337U(1.8GHz)プロセッサを載せたひとつ上のパッケージ「Inspiron 17R プレミアム」を購入し、自分でメモリを1枚増設して8GBにするといったことも可能だろう。

ちなみに、Core i5-3337Uは、Core i3-3227Uよりクロック数は低いが、負荷に応じてパフォーマンスが上がる「ターボ・ブースト・テクノロジー」を搭載する点が異なっている。

本体裏面の基板部分は、プラスドライバーを使用して簡単に開けられる

メモリもユーザー側で簡単に着脱できる

端子は必要最小限 - USB 3.0やHDMIなど

インタフェースは「Inspiron 17R」のどのパッケージも共通で、必要最小限のものを押さえている印象だ。右側面には光学ドライブとUSB 2.0を1基備え、光学ドライブは、ベーシックモデルではDVDスーパーマルチドライブを搭載。

本体右側面。DVDスーパーマルチドライブとUSB 2.0を1基備える。

本体左側面。USBポート周りは狭いが、一般的な太さのUSBケーブルであれば問題なく装着できる

左側面にはHDMI端子、LANポート(10BASE-T/100BASE-T/1000BASE-T対応)、USB 2.0を1基ずつ備えるほか、USB 3.0も2基搭載する。有線LANがギガビット対応の点は、ホームノートとしては嬉しいポイントだ。

若干密度が高い印象ではあるが、HDMIポートの回りには多少のスペースも設けられており、一般的な細さのHDMIケーブルやUSBケーブルであれば干渉することはないだろう。

このほか、前面にはマルチカードリーダーを1基搭載。背面には何も搭載しない。また、無線インタフェースはIEEE802.11b/g/n対応無線LAN、Bluetooth 4.0となっている。

本体前面

本体背面

本体前面の中央部にはマルチカードリーダーがある

まとめ - 手軽に使える大画面ホームノート

今回レビューした「Inspiron 17R ベーシック」は、例えばホームビデオの編集やブルーレイディスクで映画鑑賞といった使い方ではなく、帰宅後にWebブラウジングをしたり、メールを打ったり、YouTubeなどの動画を観たりするような使い方に適している。

その上でさらに上位のスペックが必要なユーザーは、Core i7-3517UにフルHD液晶を備えた最上位の「Inspiron 17R プラチナ・フルHD」など、パッケージによりスペックを選択できるので、価格は上がるが検討してもよいだろう。

そもそも17型ノートPCの選択肢も決して多いとは言えないなかで、17型サイズのホームノートを探しているユーザーならば、ぜひ選択肢に入れておきたい1台といえる。

製品名 Inspiron 17R ベーシック
CPU Intel Core i3-3227U(1.90GHz)
チップセット Mobile Intel HM76 Express
メモリ DDR3-1600 4GB(4GB×1)
ストレージ 500GB SATA HDD
光学ドライブ DVDスーパーマルチドライブ
グラフィックス Intel HD Graphics 4000(CPU内蔵)
ディスプレイ 17.3型ワイドTrueLife HD(1,600×900ドット)
ネットワーク 10BASE-T/100BASE-T/1000BASE-T対応有線LAN×1、IEEE802.11b/g/n、
Bluetooth 4.0
インタフェース USB 3.0×2、USB 2.0×2、HDMI×1、ヘッドフォン端子×1
メモリースロット マルチカードリーダー(SD/SDXC/SDHC、メモリースティック/
メモリースティックPro/メモリースティックXC、MMC、MMC+)
サイズ/重量 約W412×D270×H28.34~35.6mm/約2.73kg
OS Windows 8 64bit
直販価格 59,980円(上記最小構成時)~