最近になり身売りと上場廃止が話題になっている米Dellだが、ここにもう1つDellにまつわる新しい話題が登場した。米Wall Street Journalによれば、同社CEOのMichael Dell氏が"ドリームライナー"こと次世代航空機ボーイング787の購入予定顧客リストに掲載されていることが判明したという。現在787は一連の事故で米連邦航空局(FAA)をはじめとした各国で飛行停止命令が出されているほか、ボーイング自身も顧客への納入を停止しているため、Dell氏の受け取りにも大きな遅れが生じる可能性がある。
カーボン系の新素材を使って大幅な軽量化と低燃費、長い航続距離を実現したドリームライナーのB787だが、ここ最近になりバッテリまわりの発火や燃料漏れ、窓ガラスのひび割れなどさまざまな問題が相次ぎ、世界各国政府により飛行停止命令が出されている。787は当初予定から納入計画が大幅に遅れており、現在も多くの顧客が受け取り待ち状態にあるが、米Boeing自身は問題解決まで顧客への納入を停止しており、こうした待ちリストに名前のある顧客の受け取りはさらに遅れるとみられている。
WSJによれば、Dell氏は米AIGのリース部門であるInternational Lease Finance Corpを通じてB787の発注を行っているようだ。ILFCはGE Capital Aviation Servicesに次ぐ世界第2位の航空機リース会社であり、B787の購入数でも最大の上顧客だという。だが実際に航空機を購入するのがDell氏本人なのか、あるいはDell一族の資産運用会社であるMSD Capital LP,なのかは不明だ。もしMSD Capitalが購入主だった場合、Dell氏の個人利用というよりは資産運用と投資の一環として利用されることになるとみられる。なお、Dell氏個人はすでに自家用のプライベートジェットを持っている。
世界の富豪の中にはビジネスジェットではなく、長距離航行が可能な中大型ジェット機を所有する者も少なくない。例えばサウジアラビアの王族で富豪のAl-Waleed bin Talal王子の場合、すでに保有するB787に加え、フルカスタムのA380の発注を行ったことが知られている。その金額は4億ドル程度だ。このほかWSJによれば、投資家のWarren Buffett氏がB737を保有し、Google創業者のLarry Page氏とSergey Brin氏が中古のB767を購入したことが知られている。現在、B787は世界の航空会社8社にしか納入が行われておらず、著名人としてB787の購入が判明した希有な例となるかもしれない。