日本総合研究所は22日、同社調査部が取りまとめた「安倍新政権の子ども・子育て支援政策への期待」と題するレポートを公表した。
同レポートでは、第2次安倍政権の発足で子ども・子育て支援政策はどうなるのか、現状を整理した後、第1次安倍政権の取り組みや自民党の衆院選マニフェストなどをふまえ、今後の子ども・子育て支援政策を展望。加えて、国際的な動向もふまえ、新政権への期待を提示している。
同レポートによると、民主党政権はチルドレン・ファースト(子どもが第一)という政策理念を掲げ、子ども・子育て関連3法の成立など、子ども・子育て支援政策において一定の進展があった。ただし、幼保一体化や待機児童対策については道半ばだった。
第1次安倍政権では、人口構造の変化に対する危機感をベースとする少子化対策の観点から、「子どもと家族を応援する日本」重点戦略検討会議において、次世代育成支援施策について活発に議論。今回の自民党の衆院選マニフェストでも、公的支出の充実、女性の活用、新しい家族像としての男性の育児参加など、引き続き子ども・子育て支援政策に積極的な姿勢を示した。
第2次安倍政権発足によって、第一に、幼児教育無償化が改めて検討される見通し。これは、「諸外国において幼児教育が投資効果の高い公共的事業とみなされる傾向に整合的」(日本総合研究所)という。もっとも、無償化に要する追加公費は0.8兆円との試算もあり、財源や詳細設計については今後の議論が待たれる。
第二に、女性の活用および子どもの教育重視の観点から、働き方の問題がクローズアップされる可能性があるという。わが国では女性の活用度がOECD平均を下回る極めて低い水準にある。
レポートでは、新政権の子ども・子育て支援政策へのさらなる期待として、(1)もう一段の待機児童対策、(2)幼稚園・保育所の所管省庁の一元化、(3)子どもの権利条約に関する国際的な動向を踏まえた施策推進、の3点を挙げている。
(1)については3歳未満の保育にも十分な予算確保を期待。(2)については、行政事務合理化の観点に加え、保育の普遍化および質向上の観点から、文部科学省での一元化という選択肢が積極的に検討されるべきとしている。諸外国でも保育施設への教育省の関与が強まる傾向という。(3)については、子どもの権利条約批准国として、わが国でも子どもの立場・視点から行政の施策を評価・点検する独立機関(子どもオンブズマン)の設置を期待している。近年、子どもオンブズマン設置国が増加している。