映画『東京家族』の初日舞台あいさつが19日、東京・丸の内ピカデリーで行われ、山田洋次監督とキャストの橋爪功、吉行和子、西村雅彦、夏川結衣、林家正蔵、妻夫木聡が出席した。
山田監督は「公開まで足掛け4年かかったので、今日を心待ちにしていました。ここにいるみなさんが素敵な家族を演じてくれたので、たくさんの人に観て欲しい」とあいさつし、「震災後は絆が流行語みたいになって、家族の絆を考えるきっかけになった。東京だけじゃなくニューヨークやロンドン、上海などどこにでもある家族だと思う」とアピール。山田組に初参加のキャスト陣は、撮影中は緊張感もあったようで、幸一の妻・文子役の夏川は「監督がどこにいて何を言ってるのか、みんな目で追ってましたね。多々怒られましたが、充実した毎日を過ごしました」と振り返り、吉行も「初めてだったので緊張したけど、喜びと驚きがありました。半世紀、女優をやっててこんな日々は無かった」とにっこり。滋子の夫・庫造役の林家は「うちの家族も結構大変なので、大なり小なり家族には問題があるんだなぁと感じた。観た後は、家族を大事にしたいと思う作品です」とPRした。
背中を丸めて演技をし続けたという橋爪は「肩がバリバリになっちゃって……。マッサージに行ってたんですけど、監督と家が近所なので会うとマズイなと思ってたら、奥に監督がいらして。リラックスできないですよ」と打ち明け、更に「クランクアップを迎えた時に、吉行さんにハグしようとしたら監督とハグしてて、耳元で何か囁いてた。俺の嫁なのに!」と山田監督に恨み節。そのエピソード話に「何を言ったかは内緒~。墓場まで持って行きます」と微笑んだ吉行は、"息子"たちについて「西村さんはクレイジーだし、長男なのでほっといた。妻夫木くんは一生懸命話しかけてくれて、いい人。突然、どんな入浴剤を使ってるのかと聞かれたので、『甦れ、赤子肌』というものを使ったと答えたけれど、心の中で『無理だろ』って思ってたと思う」と話すと、妻夫木は「そんなことないよ、お母さん! 入浴剤が好きで、よく東急ハンズで見てるから」と答えて仲の良さをうかがわせていた。
同作は、今年で監督生活50周年を迎える山田監督が、小津安二郎監督の『東京家族』(1953年)をモチーフに製作した家族の日常風景を描いた物語で、2月に開催される第63回ベルリン国際映画祭での上映が決定している。瀬戸内海の小島で暮らす平山周吉(橋爪)と妻のとみこ(吉行)は、子どもたちに会うために東京へやってくる。久しぶりに再会した家族だったが、長男で医者の幸一(西村)、長女で美容院経営をしている滋子(中嶋朋子)、次男で舞台美術の仕事をしている昌次(妻夫木)は仕事に追われて両親の相手をする暇が無く、次第に家族はすれ違っていく――というストーリーで、映画は全国公開中。