東京商工リサーチは17日、春陽堂と茶月が、UAゼンセン春陽堂労働組合および従業員から京都地裁に対して破産を申請し1月15日、保全命令を受けたと発表した。申請代理人は小野誠之弁護士(烏丸法律事務所、京都市中京区烏丸通三条下ル)ほか1名。
東京商工リサーチによると、負債総額は春陽堂が2012年3月期末時点で約49億円、茶月が2011年9月期末時点で約28億円。だが、その後事業譲渡などを行っているため、金額は大幅に変動する可能性があるという。
春陽堂はグリル・喫茶・洋菓子の製造、販売を目的に設立され、持帰り・宅配寿司「茶月」「百花撰」「神田一番寿司」、カレーハウス「スパイシー」、弁当・惣菜の「旬菜楽市」、ピザ・パスタ料理「サンマルコ」、中華レストラン「春陽堂」などを運営し一大外食チェーンを形成、ピークとなる1992年3月期には売上高約364億円をあげ、全国に619店舗を展開していた。
その後は、競合激化や消費者ニーズの変化に対応できず売上高は大きく減少、2004年10月以降、営業エリアや業態ごとの競争力強化を目的に茶月ほか複数の子会社を会社分割により設立して主力事業を移管、春陽堂はグループ会社に対する食材などの供給や経営指導を行う業態に転換した。
しかし、非効率的な会社運営によりグループ業績は更に悪化したため、2008年10月には再びグループ子会社9社を茶月に集約するなど、経営面での混乱も続いたという。2010年3月には産業活力再生特別措置法(産活法)の認定を受けて、店舗閉鎖や人的リストラを加速させたが、業績を改善させることはできず、給与支払の遅延が常態化する中で動向が注目されるようになった。
2012年3月期中には、回転寿司事業と弁当・惣菜事業から撤退、カレー事業は別会社に事業譲渡した。さらに2012年10月には関東地方の直営店舗60店、フランチャイズ店舗27店に関する事業を小僧寿しグループの子会社に7億円で譲渡したが、資金繰りを緩和するまでには至らず、未払いとなっている労働債権約5億円を持つ労働者側から破産が申し立てられる事態となった。
1月25日に京都地裁で開かれる審尋を経て、今後の方針が決定される見通し。