アン・リー監督が17日、東京・有楽町のザ・ペニンシュラ東京で行われた映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』の来日記者会見に登場した。
同作は、文学界の権威あるブッカー賞を受賞したヤン・マーテルの小説を原作とした作品。海で嵐に見舞われ、ただひとり生き残った16歳の少年パイ(スラージ・シャルマ)。家族を亡くし悲しみに暮れる彼に、さらなる過酷な運命が降りかかる。パイが避難した小さな救命ボートには、トラが隠れていた……。
先日発表された第85回アカデミー賞で、スティーヴン・スピルバーグ監督作品『リンカーン』の最多12部門ノミネートに次ぐ、11部門においてノミネートされた同作。すでに映画『ブロークバック・マウンテン』(2005年)にて、アカデミー監督賞を獲得しているアン・リー監督は、冒頭のあいさつで「今回の作品は今までの映画制作のなかで一番難しかった」と、4年間、3000人ものスタッフを動員した同作の映画制作を振り返った。また、アカデミー賞については「世界でもっとも大きな賞であることは間違いありません。しかし、芸術的に最も優れた作品が受賞するものであるかと聞かれればそんなことはありません」とし、同作が、アカデミー賞を獲得するかどうかは問題ではないとコメント。続けて、「この作品が完成したこと自体に満足しており、賞はボーナスみたいなものです」と話した。しかし、同作に出演したインド人俳優たちの演技が素晴らしかったにも関わらず、主演男優賞や助演男優賞にノミネートされなかった点については非常に残念がった。
さらに、同作で日本語吹き替え版の声優を務めた映画『おくりびと』(2008年)の本木雅弘の印象については「素晴らしい映画人で尊敬しています。実は映画『シコふんじゃった。』(1992年)の時代から彼の作品を見ていているんですよ。映画『おくりびと』に関しては私は2回見ましたし、妻は8回も見ていましたよ(笑)」と絶賛。「機会があれば一緒に仕事をしてみたいですね」と"声優・本木雅弘"だけでなく、"俳優・本木雅弘"との共演を希望していた。
映画『ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日』は、2013年1月25日より、TOHOシネマズ日劇ほか全国公開。