東京商工リサーチは15日、「2012年主な上場企業希望・早期退職者募集状況調査」の結果を発表した。同調査は、上場企業を対象に2012年1月以降、希望・早期退職者募集の実施について情報開示し、具体的な内容を確認できた企業を抽出したもの(希望・早期退職の実施に至らない企業除く)。資料は、原則として会社情報適時開示の「会社情報に関する公開資料」(2013年1月1日公表分まで)に基づいている。
それによると、2012年に希望・早期退職者募集を実施した上場企業は63社で、前年の58社より5社増加し、3年ぶりに前年水準を上回ったことが判明。総募集人数(募集人数が不明の場合は、応募人数をカウント)は前年の約2倍となる1万7,705人で、リーマン・ショック直後の2009年の2万2,950人に次ぐ数字となった。
人数が増加した要因としては、日本電気、シャープ、ルネサスエレクトロニクスなど大手メーカーの人員削減が大きいと考えられる。同社は「歴史的な円高やグローバル経済の進展を背景に電機メーカーなどの深刻な業績不振を反映する格好となった」と分析している。
個別企業別で募集人数が最も多かったのは、ルネサスエレクトロニクス(グループ会社含む)の5,000人(応募7,446人)。次いで、日本電気(同)の応募人数2,393人、シャープ(同)の募集人数2,000人(応募2,960人)、八千代工業の応募人数771人、アルバック(同)の700人(応募879人)となった。募集または応募人数が100人以上の企業は計26社。
業種別に見た場合、「電気機器」が最多で19社(構成比30.1%)。以下、「小売」が6社、「卸売」「機械」「金属製品」「情報通信」が各4社と続いた。市場区分について見ると、東証1部上場が最も多く32社(同50.7%)となり、次いで東証2部上場が12社、ジャスダック上場が10社となった。
東京商工リサーチによると、2013年に入って既に上場企業8社(2013年1月11日現在)が希望・早期退職募集の実施を公表するなど、人員削減の動きはさらに拡大しているという。東京商工リサーチは「特に大手上場メーカーの希望退職者募集は、工場の閉鎖・縮小と一体になっているケースが多いため、雇用の柱を失う恐れが出てきた企業城下町では、下請け企業を含めて地域の雇用問題が深刻さを増している」と指摘している。