浮気というわけではないけれども、好きな人が他の誰かと仲良くしていたら嫌な気持ちになります。一般的には、女性は男性に比べて嫉妬深い(=ヤキモチ焼き)と考えられています。しかし、それは本当なのでしょうか。化粧心理学者で、大学では恋愛心理学の授業も担当している平松隆円さんに解説していただきます。

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女性の嫉妬深さはあきらめるしかない?

例えば浮気の許容度についての調査では、誕生日にプレゼントをあげる、一緒に食事をしたりお酒を飲んだりすることを許せないと考えていることがわかっています。しかしながら、その許容には男女差はありませんでした。実は、男性に比べて女性のほうが嫉妬深いという明確な調査結果はないのです。ですが、女性のほうが嫉妬深くなるかもしれないという可能性は十分にあります。

それは、動物としての繁殖上の問題です。男性は自分の子どもを残そうと思えば、いろいろな女性との子孫を残すことができます。ですが女性の場合、そう簡単に繁殖をすることはできません。というのも、妊娠から出産までおよそ1年の時間が必要ですし、その後も育児をして子どもを育てなくてはいけません。その間、自分自身はもちろんのこと、子どもの安全や生活の支援を必要とします。女性が嫉妬深いのは、男性が浮気をすることで自分や子どもを守ってくれる存在を失うことにつながるため、必死につなぎ止めようとするからだと考えることができるのです。

女性がペアアクセサリーを希望する理由

これは、男女のプレゼントに関する行動にもあらわれてきます。よく女性はペアのアクセサリーを希望し、男性はそれを嫌がることがあります。ペアのアクセサリーは特定のパートナーとの関係を示すものです。本能的に多くの女性との繁殖の機会を狙っている男性からすれば、特定の女性の存在を示すアクセサリーは邪魔でしかありません。ですが、女性からすれば、妊娠、出産そして育児と自分を守ってもらわないといけない男性が他の女性にうつつを抜かすことは避けたい。そのため、自分の存在を暗に示すペアのアクセサリーをつけようとするわけです。

よく、男性は自分の恋人が他の男性と肉体的な浮気をした場合に強い嫉妬を抱き、女性は自分の恋人が他の女性と精神的な浮気した場合に強い嫉妬を抱くといわれます。これは、男性は自分の遺伝子を残す上で生物学的な不確かさに悩まされ、女性は自分の遺伝子を残すための経済的援助を得ることの難しさに悩まされていること原因があるのです。さらに忘れないでいていただきたいのが、女性が嫉妬深いのは、その男性のことが好きで必要としている証しともいえる、という点です。

著者プロフィール

平松隆円
化粧心理学者 / 大学教員
1980年滋賀県生まれ。2008年世界でも類をみない化粧研究で博士(教育学)の学位を取得。国際日本文化研究センター講師や京都大学中核機関研究員などを歴任。専門は、化粧心理学や化粧文化論など。よそおいに関する研究で日本文化を解き明かしている。大学では魅力をテーマに恋愛心理学も担当。 NTV『所さんの目がテン! 』、CX『めざましどようび』、NHK『極める 中越典子の京美人学』など番組出演も多数。主著『化粧にみる日本文化』は関西大学入試問題に採用されるなど、研究者以外にも反響を呼んだ。