今年は年末年始の休みが長かったせいで、なかなか頭が通常モードに戻らない方も多いかもしれませんね。でも、いつもと同じニュース番組を見たり、いつもと同じ電車に乗ったりしているうちに、なんとなくいつものペースに戻るもの。筆者の場合、そんな"通常モードアイテム"のひとつがPodcastです。聞きなれた声がいつもどおりに聞こえると、ああ世の中普通に回っているのだなと感じます。
申し遅れましたが、筆者は普段マイナビニュースの姉妹サイト「iPad iPhone Wire」の連載記事「Podcastステーション178」にて、毎回テーマごとにいくつかの番組を紹介しています。日頃から数多くの番組を聞いてまわっているため、良い番組もたくさん出会うのですが、個人的に聞き続けている番組はごく数本。文字と違って音声メディアは見出し読みや斜め読みのようなことができないので、どうしても可処分時間内に聞ける本数は限られてしまいます。今回はそんな中から2012年のお気に入り5本をピックアップしてみました。
お気に入りの条件はいろいろありますが、最も大きな理由は個人的な興味関心に合致する内容であること。なので、方向性の異なる方にはあまり参考にならないかもしれませんが、興味関心事項の近い方、Podcastを聞いたことがない方や、別ジャンルを開拓したいという方には、どれもぜひおススメしたい番組です。
そこ☆あに
毎週1回配信されている、アニメがテーマのトーク番組。毎回ひとつの作品を「特集」として取り上げ、リスナーからの投稿を交えつつキャストの皆さんがアレコレ楽しく語ってくれます。情報番組という趣向ではないのですが、周囲に同類のいない出戻り型のR30アニメファンにとっては、貴重なクチコミ情報源になります。評価や評論というよりも、みんなはどんな感想? と聞いて回るようなスタンスなので、自分の考えを持って作品を見ている人にとっても、ひとつの意見として受け入れて聞いてみると面白いかもしれません。突然古~い作品が取り上げられたり(商業媒体ではあり得ない)、自分が見ないタイプの作品についてファンの声が聞けるのも、見識が広がってよいものです。シーズンごとの定番「新番組青田買い特集」と「最終回特集」は、雑誌やネットで掴みにくい見所や傾向を俯瞰できて重宝します。また、監督やアニメーターのインタビュー回や、ライブ配信などもあり、定番はあってもマンネリにしない工夫も聞き続けられる理由です。
りんごは踊る、されど並ばず。
アップル系の話題が中心なのかと思ったら、意外に幅広く様々なテーマを取り上げて語る、おしゃべり系だけど芯のある番組。安定の物欲回からITエンジニアの話、広告ビジネスモデルなどなど……。こういう番組ではストライクゾーンが完全に一致しなくても、射程の方向が近いと自分の興味の延長やその周辺を知ることができるので、けっこう楽しく聞けるものです。4名のキャストの方々は他にもPodcastの番組を運営していらっしゃるそうで、番組的なしゃべりや掛け合いが聞きやすい。また、メールやTwitter、iTunesの番組レビューに書き込まれた感想・質問も番組内でまめに取り上げるため、身近に感じられる一方で、聞き手を意識した語り口には程よい距離感もあります。笑いもあるけど賑やかしだけでなく、時に納得したり、知らなかったことを知ることたできたりと、毎回何かしら聞いて良かったと思えるポイントのある番組です。
♪エイゴの時間【podcastで英語のレッスン】
♪エイゴの時間【podcastで英語のレッスン】 |
以前は毎日何回もリピートして覚えるほど聞いていたのですが、考えてみたらもう半年以上聞いていませんでした。なんで聞かなくなったんだっけ……と考えてみたのですが、たぶん、アプリが変わったせいです。昨年、アップルがひっそりとPodcast専用アプリをリリース。その後、iOSのアップデートを経て、ミュージックアプリからPodcastが完全に切り離された形になりました。以前はPodcastもミュージックアプリで聞いていましたよね。確かミュージックアプリで聞いていた時は、プレイリストにPodcastのエピソードを登録するとリピート再生が可能だった憶えがあります。この番組は1エピソードが数分と短いので、繰り返し聞くのに最適だったのです。それがPodcast専用アプリではできなくなり、聞く習慣がなくなってしまった、という経緯でした。今年は何か方法を探して、もう一度学習を始めたいものです。内容的には、日本人の方が運営しているだけあって、時事ネタや時候を踏まえたエピソード、日本人がつまづきやすいポイントなどが押さえられ、活きた表現を覚えたい人やレベルアップしたい人におススメです。
ヴォイニッチの科学書
今回ご紹介する中では唯一、有料で配信されている番組です。iTunesでは番組の一部が無料で配信され、本編はオーディオブック配信サービス「FeBe!」で購読する形となっています(月額500円)。番組ではおよそ科学と名のつくあらゆるジャンルの話題が毎回ポコポコ出てきまして、これだけの内容を毎週毎週調べて選んで趣旨をまとめて分かりやすく説明してくれるのですから、500円で高いということはありません。PDFの配布資料ももらえます。全く理系ではない筆者ですが、細かいところは理解はできなくても、新しい発見や面白い研究の話はそれだけで大変興味深いものです。また、説明の例え話などで時折聞かれるアニメ・特撮ネタもちょっとした楽しみ。配信者の中西氏は科学関連の本を多数執筆されている他、トークイベントやTwitterで科学ネタをつぶやくボット「@bot-obio」など、配信以外にも接触できるポイントがいろいろあるので、科学好きの方はぜひ。この番組に限らず、有益な情報を提供したり、トークで人を楽しませることのできる人たちが、製作したコンテンツへの対価という形で、多くの人にその労力や特殊能力を評価してもらえるようになるといいなと思います。
8時だヨ! 神さま仏さま
コミュニティFMのFMあまがさきで放送されている番組。欠かさず聞いているわけではないのですが、ながら聞きしたい時によく選びます。宮司さんと住職さんと牧師さんが集まってしゃべるという、"ながら"で聞いているわりに実はけっこうすごいシチュエーション……。日本でしかありえない異文化交流トークを楽しめます。行事・催しや最近の活動など、お互いのことを聞きながら、尊重し合い、ある部分では遠慮もするという、共存可能な交流の仕方はさすがプロの方々です。ローカルな話題や、宗教関係でない地元で活躍する人がゲストに登場するなど、コミュニティFMらしさも面白いところ。リスナーから寄せられた宗教に関する素朴な疑問に答えるコーナーでは、それぞれの習慣や考え方の違い、その理由などについて、なるほど納得! と思える話をいろいろと聞くことができます。最近ではチュニジアご出身の大学教授がイスラム関係ご担当として準レギュラーに加わり、今年はさらに広く深い異文化交流が聞けそうです。