(C)2012 男女逆転『大奥~永遠~[右衛門佐・綱吉篇]』製作委員会

隔月刊誌『MELODY』にて現在連載中で、男女逆転の大奥を舞台とした斬新な設定が話題となり人気を博しているよしながふみ作の少女漫画『大奥』。今月14日にはTBS系列の金曜ドラマ『大奥 ~誕生~[有功・家光篇]』が最終回を迎え、その続編となる映画『大奥 ~永遠~ [右衛門佐・綱吉篇]』が22日より公開された。2010年の前作『大奥』は興行収入23億円超の大ヒットを飛ばし、今作もそれ以上の記録が期待されている。

今回は映画の公開を記念して、著者よしながふみの魅力に迫るべく男女590名に「最も面白いよしながふみ作品」についてアンケートをとった。

Q.最も面白いよしながふみ作品は?(単一回答)

1位『大奥』32.3%
2位『西洋骨董洋菓子店』18.9%
3位『きのう何食べた?』11.3%
4位『愛すべき娘たち』8.4%
5位『フラワー・オブ・ライフ』6.6%
6位『こどもの体温』5.4%
7位『ジェラールとジャック』5.1%
8位『1限目はやる気の民法』3.6%
9位『それを言ったらおしまいよ』2.2%
10位『ソルフェージュ』2.0%

1位はドラマ化、映画化によって知名度を高めた『大奥』。「男女逆転という発想が斬新で面白い」(34歳/運輸・倉庫/その他)という意見が多数を占めた通り、誰も考えつかなかった男女逆転の大奥に衝撃を受けた人が多いようだ。単なる設定の奇抜さだけでなく、男女や親子の愛憎を丁寧に描き出した手腕は「さすが」の一言で、よしながの代名詞となった作品。

2位はドラマ化やアニメ化、さらに韓国では映画化もされた『西洋骨董洋菓子店』。「ドラマもマンガも面白かったし、出てくるケーキが素敵だった」(29歳/情報・IT/技術職)と、作品の魅力に加えとグルメマンガさながらに描かれるケーキに魅了された読者が多かった。洋菓子店で働く男たちをコミカルに描きながら、それぞれの抱える痛みや希望など繊細な心理も同時に表現している秀作であり、よしなが作品といえばこちらを挙げるファンも多い。

そして、3位の『きのう何食べた?』は青年マンガ誌『モーニング』で連載されていることもあり、男性からの認知度も高い作品。男性誌でありながら主人公がゲイカップルという設定も斬新だが「ゲイに興味はありませんが、料理を作りたくなる本当にいい作品」という声がある通り、毎回登場する料理やその調理法が細かく記載されている。グルメマンガのランキングの上位にも食い込んでくる作品だ。

■総評
「よしながふみ」というマンガ家の名前は、マンガ好きにとっては「知っていて当然」レベルながら一般的にはあまり知られていないのかもしれない。その理由のひとつとして、彼女がBL出身でいわゆる「一般作」が多くないからということもあるだろう。今回ランクインしている7位以下の作品もすべてBLだ。しかし、デビュー作の『月とサンダル』から人の感情の動きを見事にとらえる作家性が発揮されており、すべての作品が心揺さぶる傑作になっているところが彼女の凄味と言えるだろう。

1位の『大奥』は、男性同士の恋愛を描き続けてきたよしながにとって初となる男女の恋愛を扱った正統派の少女マンガである。2位の『西洋骨董洋菓子店』ですでに講談社漫画賞を受賞していたが、『大奥』では小学館漫画賞を受賞。さらに文化庁メディア芸術祭マンガ部門優秀賞や手塚治虫文化賞大賞などの国内の大きな賞を総なめにしたほか、日本人で初となるジェイムズ・ティプトリー・ジュニア賞も受賞している。こうした大作や知名度の高い3位までの作品に比べて知らない人も多いものの、彼女の素晴らしさを知るためにぜひ読んでもらいたいのが4位の『愛すべき娘たち』だ。不器用な想いや願いが伝わらないこともあるけれど、それでも人を愛してやまない女たちはまさに「愛すべき娘たち」。『大奥』の映画やドラマで興味を持ったなら、ぜひ現代最高の作家のひとりであるよしながふみ作品を手に取ってほしい。

調査時期:2012年10月24日~11月2日
調査対象:マイナビ ニュース会員
調査数:男女590名
調査方法:インターネットログイン式アンケート

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