2012年、PCメーカー各社は「Ultrabook」と呼ばれる薄型軽量ノートのラインナップを積極的に拡大してきた。大きさ、スペック、価格帯ともバラエティに富んだ多数の製品が登場し、モバイルノートPCの魅力が再提案されたのがこの1年だったといえるだろう。

そんな中、マウスコンピューター「LuvBook L」シリーズも、Ultrabook市場においてユニークな立ち位置を確立した機種の一つである。14型ディスプレイと8GBメモリを搭載しながら、最小構成時59,850円という低価格を実現して再登場(後述)した「LB-L410B」をあらためてチェックしてみよう。

「LuvBook L」シリーズのエントリーモデル「LB-L410B」

14型の大画面で持ち歩きから室内利用まで幅広く対応

今年はUltrabookのバリエーションが広がったが、それでも主流のサイズは13型クラス、次に11型クラスで、それよりも大きい画面を求めるユーザーの選択肢はまだ限られている。また、SSDの容量が異なる2種類のモデルが用意されている程度で、スペック面でのカスタマイズの余地がほとんどないという機種も少なくない。

これに対し「LuvBook L」シリーズは14.0型(1366×768ドット・光沢タイプ)の大画面を搭載しており、腰を据えて長時間使用するときの快適さを高めているのが特徴だ。本体サイズはW344×D240×H21mm、重量は約1.76kgとUltrabookとしては大ぶりなため、機動性の面で11~13型クラスの製品に一歩譲るのは事実だが、朝晩の通勤・通学程度の持ち運びであれば、苦になる範囲ではない。また、見やすい14型の画面サイズを活かし、リビングなど室内に常置するインターネット端末としての利用にも適しているだろう。

Ultrabookとしては大きいサイズだが、14型でありながら重量は1.8kgを切っているので、手に持ったときの重さはイメージより軽い印象

また、ストレージがさまざまな構成・容量から選択できるだけでなく、CPUおよびグラフィックス機能についても、Core i5-3317U+内蔵グラフィックスモデルとCore i7-3517U+GeForce GT 640M搭載モデルの2ラインを用意している。価格重視のユーザーからモバイルPCにもハイスペックを求めるユーザーまで、幅広いニーズに応えられる製品構成となっている。

先に「再登場」と述べたが、実はこの「LuvBook L」シリーズ、当初は内蔵グラフィックスモデルのみで登場し、次に後継機としてGeForce搭載モデルが発売されていた。このとき初代機はいったん販売終了となっていたのだが、コストパフォーマンスの高い内蔵グラフィックスモデルにも依然としてニーズは大きいという判断で、最新OSのWindows 8を搭載して復活したという経緯があったのだ。いずれにしても、消費者としては選択肢が広いほうがありがたいのはいうまでもない。5万円台の最小構成から、Core i7+GeForce+大容量SSDといったハイスペック構成までを同一筐体で選べる、Ultrabookはあまり類を見ないので、この点は本機の大きな特徴といえるだろう。

14型の余裕を活かし、PageUp/DownキーなどもFnキーとの組み合わせではなく、単独キーを備えている タッチパッドはパームレストと段差のないタイプ。感応部の右端から中央に向けて指を滑らせるとチャームバーが表示されるなど、Windows 8特有の操作にも対応

8GBメモリ搭載、ストレージの選択肢も豊富

今回紹介するエントリーモデル・LB-L410Bの主な仕様は、Core i5-3317U(動作周波数1.70GHz、ターボ・ブースト機能利用時最大2.60GHz)、CPU内蔵グラフィックス(HD グラフィックス 4000)、メモリ8GB(4GB×2)、SSD 32GB(キャッシュ用)、HDD 500GBといったもの。OSは標準でWindows 8を搭載しており、BTOオプションでWindows 8 Proが選択できるほか、Windows 7搭載モデルも用意されている。

Ultrabookではメモリ容量4GBの製品が多い中、標準で8GB(4GB×2)を搭載している点もアドバンテージといえるだろう。すでに最大容量なので、これ以上の増設はできないが、モバイルPCで行う作業であれば、8GBで不足することはまずないだろう。

エントリーモデルでも8GBのメモリを標準搭載する

ストレージはSSD+HDDのツインドライブ構成で、SSDをHDDのキャッシュとして使用する設定で出荷される。このため、Windows上ではドライブは500GBのHDDが1台だけ搭載されているように見えており、SSDの存在をユーザーが意識することはない。頻繁にアクセスするファイルは自動的にSSDにキャッシュされ、次回はそこから読み込まれるので、システムのレスポンスは高く、電源オフ状態からのWindowsの起動も実測で約13秒と申し分ないスピードだ。

標準搭載されるHDDは500GB(5400rpm)だが、BTOオプションでは500GB(7200rpm)または1TB(5400rpm)を選択することも可能。また、より軽快な動作を求めるユーザーや、HDDを搭載したくないというユーザーにはSSDのみのモデルも用意されており、SSDの種類はインテル330の240GB、インテル520の240GBまたは480GB、Samsung 840 Proの256GBから選ぶことができる。

また、本機の底面カバーには内部アクセス用の窓がいくつか用意されており、メモリやストレージの搭載場所を直接見ることができる。パーツの交換はメーカー保証外のため、これはあくまで参考情報だが、Ultrabookでは内部に触れることのできない製品がほとんどなのに対し、一定のメンテナンス性が確保されている点はパワーユーザーには魅力的かもしれない。

底面のカバーを開けるとHDD、SSD(mSATA接続型のモジュール)、メモリを確認できる

バッテリーは着脱式で、動作時間は約5時間(JEITA測定法1.0による)。なお、上位のCore i7+GeForceモデルはNVIDIAのOptimusテクノロジに対応しており、グラフィックス負荷が小さいときは自動的にGeForceがオフになり、内蔵グラフィックス機能に切り替わるようになっている。

ACアダプタも持ち運びに適するよう小ぶりに作られている