続いて、印刷ベンチマーク結果を紹介しよう。まずはA4原稿のコピー速度からだ。本体のウォームアップを終わらせた状態でA4文書を1枚だけフラットベッドからカラーコピーしたところ、印刷画質が「標準」で17秒、「高速」で14秒という結果となった。モノクロコピーの場合は「標準」で18秒、「高速」で12秒。これだけのスピードでコピーできるのであれば、家庭用としてはまったく問題ない。複数枚の連続印刷なら、1枚あたりの印刷速度はもっと向上するだろう。

コピー原稿は「JEITA標準パターン J12/Ver.1」(写真左)、L判フォト用紙のダイレクト印刷例(写真右)。スキャナで読み取ったものなので参考程度に

写真のダイレクトプリントでは、SDHCカード(class10)に保存した画像をL判の光沢用紙に印刷。画質が「標準」の場合は印刷に18秒、「高画質」の場合は53秒かかった。スピードを求めるなら断然「標準」画質だが、インクのかすれやザラつきが出やすいようなので、クオリティ重視なら「高画質」を選ぶといいだろう。

PCからの写真印刷の検証には、付属の画像編集ソフト「Presto! ImageFolio」を利用した。J940Nには写真印刷ユーティリティが付属していないので、文書管理ソフトや画像編集ソフトなどから印刷を行う必要がある。価格に反映されるかもしれないが、使いやすい印刷ユーティリティがあるとうれしいところだ。

印刷にはダイレクトプリントの検証に利用した画像を使用。「標準」画質で16秒、「高画質」で46秒という結果となった。参考までに「最高画質」で印刷してみたところ、印刷に106秒もかかったにも関わらず、一見すると「高画質」とあまり変わらないクオリティだった。

同じ画像をインクジェット用の官製はがきに印刷したところ、「標準」で30秒、「高画質」で58秒かかった。写真向きの光沢はがきでは、「標準」で27秒、「高画質」で58秒という結果に。マット用紙と光沢用紙では、印刷速度にそれほど差はないようだ。連続印刷であれば1枚あたりの印刷速度はさらに向上するだろう。これから年賀状などで大量のハガキを印刷する場合は、時間的な余裕を持って作業を行いたい。

プリンタのプロパティから、用意サイズや印刷品質を設定できる(写真左)。「拡張機能」タブでは、インク使用量を節約できる「インク節約モード」や、すかし印刷などの設定が可能(写真右)

長く使えてコストパフォーマンスはバツグン

J940Nをひと通り触って感じたのは、実売価格が1万円台の製品でこれだけ使えるのかという驚きだ。インクジェット機はインクカートリッジで利益を上げる部分が大きいとはいえ、ADFや両面印刷などほぼ全部盛りの状態でこの値段は本当にお買い得。家庭向けはもちろん、コストを抑えたいビジネスユースにもおすすめだ。

作りが頑丈なところもうれしいポイントだ。用紙カセットは出し入れが簡単で、本体カバーも開け閉めしやすい。多人数で使うと(筆者の経験上)、何かと壊れやすいものだが、J940Nでは故障の心配は少なそうだ。ホームユースだけではなく、さまざまなシーンで活用できる1台である。

ブラザー自身がアピールする「プリンターに、第3の選択肢。」

ブラザーのインクジェット複合機は、コストパフォーマンスの高さが魅力だ。今回紹介したDCP-J940NやDCP-J4210Nは、手頃な値段で購入できる。さらにランニングコストも安い。

現在のプリンタ市場は、エプソンとキヤノンが高いシェアを握る2強状態だ。どちらかのメーカーを選ぶという人も多いだろう。しかしこれからは、ブラザー自らが提案するように「第3の選択肢」として、「PRIVIO」シリーズも視野に入れるべきだ。コストパフォーマンスを重視している人には、ぜひおすすめしたい。

DCP-J4210N(PRIVIO NEO)

DCP-J940N(PRIVIO BASIC)