インドの民族楽器シタール演奏の第一人者として知られる巨匠ラヴィ・シャンカールが、12月11日に入院先の米カリフォルニア州サンディエゴの病院で亡くなった。92歳だった。
ラヴィはここ数年の間、上部呼吸道や心臓に疾患を抱えており12月6日に心臓弁の置換手術を受けたばかりだった。手術は成功したものの、術後の経過は思わしくなく、今週に入って容態が急変したという。彼の家族は昨日12日に次の声明を発表している。
「ラヴィ・シャンカール基金とイースト・ミート・ウエスト・ミュージック社は、2012年12月11日、ラヴィ・シャンカールが南カリフォルニアにて他界したことをここに発表します。ラヴィはここ数年、上部呼吸道や心臓に疾患を抱えており、12月6日(木)に心臓弁の置換手術を受けたばかりでした。手術は成功しましたが、術後に容態が悪化した次第です」
ザ・ビートルズの故ジョージ・ハリスンにシタールの演奏法を教えた経験もあるラヴィだが、生前ジョージはラヴィのことを「ワールド・ミュージックのゴッドファーザー」だと評していた。1950年代にはヨーロッパや全米でツアーを行い、インドの古典音楽を世界中に広めた功績が称えられ、キャリアを通して3度もグラミー賞を受賞している。最後のアルバムとなった『リビング・ルーム・セッションズ-パート1』は今年初頭にリリースされており、11月4日にはカリフォルニアのロング・ビーチでギグも行っている。また、1971年にはジョージやリンゴ・スター、ボブ・ディラン、エリック・クラプトンらを招聘し、バングラデシュの飢饉のために開いたチャリティライブも開催している。
また、ラヴィはジャズ・シンガーでありピアニストのノラ・ジョーンズの父親でもある。先日発表された第55回グラミー賞ノミネートにも、新作「The Living Room Sessions Part 1」がベスト・ワールド・ミュージック・アルバム部門にエントリーされ、シタール奏者で娘のアヌーシュカ・シャンカールとの"親子ノミネート"と話題となっていた。