女優の市川実日子、俳優の田中圭が11日、東京・タワーレコード渋谷にて行われた映画『レンタネコ』のDVD&Blu-ray、スピンオフ番組『ハナシネコ』のDVD発売記念イベントに出席した。
主演の市川が演じるのは、猫の貸し出し屋"レンタネコ"を営むサヨコ。彼女のもとには年齢も境遇も異なる人が訪れ、サヨコはその一人ひとりと対話しながら大切な子猫を貸し出していく。夫と愛猫に先立たれた婦人(草村礼子)、単身赴任中の中年男(光石研)、自分の存在意義に疑問を感じるレンタカー屋の受付嬢(山田真歩)、サヨコと浅からぬ因縁を持ち、今はとある組織から追われる男(田中圭)。彼らの心の隙間を埋める瞬間に立ち会いながら、サヨコにも次第に心の変化が訪れる。
監督は、『かもめ食堂』『めがね』などを手掛けた荻上直子。その独特の世界観は一見奇抜にも思えるのだが、物語が進むにつれて、それがやがて日常へと溶け込んでいく。そのことを2人ともあらかじめ分かっていたようで、台本を読んだ時の第一印象を市川は「レンタ猫屋かぁ…って思いましたけど、荻上監督なのできっと不思議なことではなくなるんだろうなと」、田中は「非日常のストーリーなんですけど、台本を読んだら日常に受けとめることができたので、映像化された時に荻上監督らしい世界観が流れるんだろうなと思っていました」とそれぞれ振り返っていた。
"猫"がテーマの本作だが、共演の2人はこれまで猫を飼った経験がなかった。猫との接し方について、市川は「サヨコは17匹の猫に囲まれて生活している人ですから、慣れない感じでもいけないしベタベタし過ぎない方がいいんだろうなと思っていたので、自然にやろうと心掛けていました」と言いつつも、「どうなるんだろう…という気持ちはありましたね」と難しい演技だったことを明かした。同じく田中にとっても「基本的に何考えているか分からないし、近寄ったらやられるイメージがあるので…」と猫はなかなかの曲者だったようだが、市川が「現場の方でいちばん猫が好きなんだなぁと思える方でした」と言うほど、自然とコミュニケーションをとっていたという。
同作はアメリカ・ミルバレー映画祭にも出品され、この日はその道中と舞台あいさつの様子を収めた映像が上映された。上映後、市川は「映画って言葉とか国とか関係なく見られるものなんだなって感じてそれはすごく良かったですね」と語り、「(観客の反応が)テレビを見ている人たちみたいでした」と言葉の壁を超えた瞬間を楽しげに思い返していた。映画『レンタネコ』のBlu-rayは6,090円、DVDは5,040円。2012年5月10日から24日まで、BS日テレで放送されていたスピンオフ番組『ハナシネコ』のDVDは5,040円で発売中。