貸出条件の変更を実施した企業の割合

企業信用調査などを行う帝国データバンクは、全国516の普通銀行(信託銀行、ネット専業銀行は除く)、信用金庫、信用組合に対し「金融円滑化法に関するアンケート調査」を実施。同調査は、調査票(選択式および記述式)の郵送によって行われ、359の機関から回答を得た。期間は10月30日~11月28日。

貸し出し条件の変更を実施した企業の割合、「20%以下」との回答が6割超

金融機関が融資取引を行っている企業のうち、「金融円滑化法(中小企業や住宅ローンの借り手が、金融機関に返済負担の軽減を申し入れた際、できる限り貸し付け条件の変更などを行うよう努めることなどを内容とした法律)」施行中に、貸し出し条件の変更等を実施した企業の割合は「20%以下」との回答が66.9%を占めた。

また「21~40%」は28.4%となり、合わせると、9割超の金融機関が、条件変更を実施した企業の割合を「40%以下」と回答している。

改善計画目標を達成している企業の割合、「40%以下」との回答が過半数

改善計画目標を達成している企業の割合

金融機関が「経営改善計画」の提出を受けている企業のうち、計画目標を達成している企業の割合は、「40%以下」にとどまるとの回答が過半数を占めた。

条件変更を受けた中小企業の多くで、「まだ経営は立ち直っていない」という実態が浮き彫りとなった。

再変更依頼に応じる見込み「81%以上」応じるとの回答が最多

再変更依頼に応じると見込まれる企業の割合

「金融円滑化法」の期限到来後、再度の条件変更を申し込まれた場合、これに応じると見込まれる企業の割合は「81%以上」との回答が最多となった。

また、「無回答」も全体で47機関にのぼり、現時点では不確定要素が多く「判断できない」、または「まだ一概に回答できない」金融機関が多いことも見て取れる。

金融円滑化法終了後の企業倒産動向、減少を見込む金融機関はゼロ

金融円滑化法終了後の企業倒産動向

同法の期限到来後の企業倒産動向については、「やや増加する」との回答が58.2%を占めトップ。「大幅に増加する」1.7%と合わせ、企業倒産が増加すると見込む金融機関が約6割を占めた。

同社では、同法期限後も、再度の条件変更に応じるとの回答が多くを占めたことから、「『金融円滑化法の適用期限が到来すると、金融機関の対応が一転し支援を打ち切られるのではないか』という中小企業の不安は、同アンケート結果を見れば払拭(ふっしょく)されるものと思われる」と分析。

一方で、「返済猶予などでは解決できない、構造的な経営課題を抱えている中小企業は多く、同法期限後に、金融機関同士の協調体制が維持されるかどうかに、疑念を抱く金融機関もある」と述べている。