帝国データバンクは10日、パナソニックグループの下請け企業実態調査の結果を発表した。それによると、同グループの下請け先企業は全国で3万1,513社、総従業員数は147万7,311人に上ることがわかった。
パナソニックグループとは、パナソニック本体を含め、同社の2011年度・有価証券報告書に記載がある主要国内連結子会社32社が調査対象。抽出条件は、製造業、卸売業、サービス業の3業種(食品・繊維など同グループ本業と関連の薄い業態は除く)で、資本金3億円以下の企業(個人含む)を下請け先としたほか、同グループの複数社と取引関係がある企業については1社としてカウントした。
同グループの下請け企業の3万1,513社のうち、一次下請け先(仕入れ先)は6,032社、一次下請け先と取引を行う二次下請け先は2万5,481社となり、同業のシャープグループの1万1,971社(総従業員数67万7,561人)と比べると約2.6倍に達した。
下請け企業の合計を都道府県別に見た場合、1位は東京都の7,472社(構成比23.7%)、2位は大阪府の6,178社(同19.6%)となったが、一次下請け先の数だけ見ると大阪府が1,549社でトップ。以下、神奈川県の2,016社(同6.4%)、愛知県の1,943社(同6.2%)、埼玉県の1,472社(同4.7%)と続いた。また、主な生産拠点のある県を見ると、兵庫県は1,066社で6位、京都府は988社で7位、新潟県は575社で12位、三重県は423社で16位などが上位にランクインした。
業種別について見ると、一次下請け先で最も多かったのは産業用電気機器卸で479社(構成比7.9%)。次いで、ソフト受託開発が346社(同5.7%)、精密機械器具卸が164社(同2.7%)、工業用樹脂製品製造が159社(同2.6%)、金属プレス製品製造が143社(同2.4%)となった。二次下請先では、同じく産業用電気機器卸が1,357社(同5.3%)で最多。以下、ソフト受託開発が1,101社(同4.3%)、鉄鋼・同加工品卸が655社(同2.6%)、化学製品等卸が579社(同2.3%)、金属プレス製品製造が576社(同2.3%)と続いた。
2011年度(2011年4月期~2012年3月期)および2010年度の直近2期の業績が判明した2万9,078社について調べたところ、2011年度の売上高が前期を下回った減収企業は1万1,029社(構成比37.9%)となり、全体の4割近くに達した。このうち、2期連続減収企業は4,146社。減収企業数は、シャープグループの下請け先における2011年度・減収企業数4,431社の約2.5倍に上る。
12月3日には、パナソニックを主要取引先とする北白川製作所(宮城・白石市)が民事再生法の適用を申請するなど、既に影響が及んでいる。今後については「経営体力的にも、資金繰り的にも限界に達しつつある中小零細規模の下請先の倒産増加が懸念される」(帝国データバンク)。