マイナビニュースのマスコットキャラクター"マイナビベア"の生みの親であり、現在、「マイナビベアイラストコンテスト」でも審査員を務めている漫画家/イラストレーターの平尾リョウ。彼のクリエイションにはワコムのペンタブレット「Intuos5」が欠かせないという。「これがなかったら今の職業についているかも分からない」とまで話す平尾氏にIntuos5の魅力を聞いた。

平尾リョウ
首都圏在住の漫画家・イラストレーター。スクウェア(現在のスクウェア・エニックス)でイラストや絵コンテ制作などに従事。現在は、フリーランスとして、漫画やイラスト制作、キャラクターデザインなどを行なっている。現在、月刊ニュータイプ(角川書店)にて、「4じてん。」を連載中のほか、マイナビベアのキャラクターデザインも担当している

――まず、現在どのようなお仕事をしているのか教えて下さい。

平尾リョウ(以下、平尾)「以前は、スクウェア(現在のスクウェア・エニックス)でキャラクターデザインや絵コンテを描いていましたが、独立した今では、漫画やイラストなど、絵に関する仕事であれば、なんでもやっています」

――平尾さんはいつ頃からデジタルでの作画を始めたのですか。

平尾「スクウェアに入社して、ワコム製のペンタブレット「Intuos2」を手に入れてからですね、本格的にデジタルでの作画を始めたのは。入社前にも、ペンのなかに電池を入れるタイプの他社のものを持ってはいましたが、すごく重くて使いづらかったので、あまり使っていなかったですね」

――では、仕事として作画を始めたときからデジタルだったということなんですね。

平尾「はい。「Intuos2」を使い始めてからは自分でペンタブレット「FAVO」も購入しました。その後も、「Intuos3」、「Intuos4」、「Intuos5」と新しいペンタブレットが発売されるたびに買い換えています」

――なぜ、毎回新しいバージョンへ移行しているのでしょうか。

平尾「ペンタブレット自体は頑丈なので、まったく壊れないんですけど、毎回、機能面で様々な進化があるので、使いたくなるんですよ。3から4に移行した理由はなんといってもペンの進化でしたね。Intuos4にしてからは、描線が安定して、アンドゥーの回数も減ったので、かなり作業効率が上がりました。5への移行に関しては、ワイヤレス機能に惹かれて手を出してしまいました。これでファミレスで作業するときに、コードを垂らさなくてよくなるぞと思って(笑)」

――外で作業されることも頻繁にあるのですか。

平尾「結構多いですね。本当は家で描きたいんですけど、仕事の都合上、外でやることもあるんです。このワイヤレス機能を使えば約8時間外でペンタブレットを使えるので、打ち合わせの場合などにも便利ですね。ワイヤレスにした際にも、無線になることでの遅延もまったく感じることはありませんでした。あと個人的にワイヤレスキットをIntuos5の側部に収納できてしまうところも気に入っています」

――Intuos5を使うときに何か平尾さんならではのカスタムなども行なっていますか。

平尾「芯は必ずストローク芯を使っていますね。キャラクターデザインなどをしていると、短い時間で膨大な枚数のイラストを描かなくてはいけないので、この芯でないと僕の場合は、腱鞘炎になってしまうんです。あと、ディスプレイとペンタブレットの距離をあまりあけたくないので、キーボードの上にペンタブレットを置いています。そのほかにも、ペンのグリップにペンダコ防止用のゴムのようなものをつけています」

――なるほど。ファンクションキーもよく活用していますか。

平尾「かなり使いますね。特にラジアルメニューを使うのですが、全選択と選択解除とか、選択まわりとコピー・ペーストとかですね。あと、僕のイラスト制作では、ベタが多いので、ベタの塗りつぶしも割り当てています。ラジアルメニューを使うことで、ディスプレイから目を離さずに操作できるので、集中力が途切れない気がするんですよね」

――これほどペンタブレットを愛用している平尾さんが考えるIntuosシリーズの魅力とはなんでしょうか。

平尾「イラストを紙に書く必要がなくなったことが一番大きいですね。ここ10年近く、あくまで仕事としてはですが、紙にイラストを描いていないと思います。また、僕の場合、漫画を始めたきっかけもIntuosがあったからなんです。漫画制作を始めた当初からデジタルなので、紙だと漫画は描けないかもしれません。それに、もしペンタブレットに筆圧感知機能がなかったら、今頃、まったく別の絵柄になっていたかもしれませんし、そもそも絵が完成していなかったかもしれませんね。さらにもっと言ってしまえば、ペンタブレットがなかったら今の職業についているかも分かりません」

撮影:石井健