シンガーソングライターの松任谷由実とスタジオジブリの鈴木敏夫プロデューサーが、9日、都内で行われた、ブルーレイ『魔女の宅急便』及び『おもひでぽろぽろ』(各7,140円で発売中 発売元:ウォルト・ディズニー・スタジオ・ジャパン)の発売記念イベントに出席した。
松任谷が荒井由実時代に発表した「やさしさに包まれたなら」と「ルージュの伝言」は、『魔女の宅急便』の挿入歌となっており、公開されて23年経って行われたトークショーに、鈴木プロデューサーは「サインをもらおうと昨日の夜中にLPを引っ張り出しました」と興奮ぎみ。当時を振り返り「主題歌をどうしようかという話になった時、前日に初めてユーミンのコンサートに行ったから『ユーミンが良いんじゃない?』と。実は、宮さん(宮崎駿監督)は仕事中にラジカセで毎日聞いてるくらい大ファンだったんです」とエピソードを披露し、「あなたがいなかったら、この映画は成立しない」と断言した。
松任谷は「やったー! ラジオで曲が流れるシーンは、印象的でうれしかった」と改めて感謝し、「ラストで、モップにまたがったキキの表情が切なくて泣けました」と話すと、鈴木は「この映画は、おばあちゃんにケーキを届けるシーンで終わりのはずだったんです。後で絵コンテを付け足したんですが、現場のスタッフみんなに反対されて。『宮さんがやるから、絶対良いシーンになる!』って説得しました」と制作秘話を披露した。
松任谷は今年でデビュー40周年を迎えたが、鈴木は「ユーミンのおかげでみんな恋をしなきゃいけなくなりましたよね。基本の歌い方は変らずに歌い方を鍛えてる人。変に上手にならないところがプロだと思うし驚きます」と称賛すると、松任谷は「自覚してます。まだのびしろはありますよ」と苦笑い。鈴木は「実は最近、『ひこうき雲』の歌詞が良くて何回も聞いてる。今、ある映画を作ってるんですけど、まさにこの曲のような作品なんです」と近日発表予定のスタジオジブリ最新作について触れ、「宮さんに歌詞を聞かせたら、急に真面目な顔になって『ぴったり……』と。実は今日「ひこうき雲」を使いたいとお願いしようと思ってた」と公開オファーをして観客はびっくり。松任谷は「有難すぎて今年1番うれしい。鳥肌が立ちました」と突然のオファーに喜び、「ジブリ作品と私には共通点がある。色んな主人公の作品があるけど、どれも一貫した心があるんです。私も人が喜ぶことを見て幸せになるということを続けていきたい」と決意を新たにしていた。