我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りする。今回取り上げるキーワードは、Windows OSが使用可能なハードウェアリソースを指す「デバイス」だ。

Windows 8キーワード一覧

「パス」とは
「ボリューム」とは
「共有フォルダー」とは
「ホームグループ」とは
「カーネル」とは
「プライベートネットワーク」とは
「レジストリ」とは
「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ」「デスクトップアプリ」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは

「デバイス(Device)」

デバイス(Device)

もともとは機器や装置を指す英単語だが、Windows 8においてはコンピューターを構成するハードウェアや周辺機器を指す単語として用いられる。OS(Operating System)が持つ役割の一つに、各種デバイスを平易に使用させるための「ハードウェアの抽象化」がある。カーネルでも紹介したが、ハードウェアの差異をOSが吸収し、OS上で動作するソフトウェアはハードウェアの相違を意識することなく、特定の目的を実行可能にしている。

具体的にはCPUやGPU(Graphics Processing Unit)、プリンターキーボードといったすべてのハードウェアを指す。各デバイスを使用可能にするには、「デバイスドライバー」と呼ばれるソフトウェアが必要となり、通常はデバイスを販売するベンダーが用意することが多い。Windows 8の場合、既存のデバイス用デバイスドライバーは、あらかじめOSが用意したものを使用するか、Windows Update経由で自動的にインストールされるため意識する場面は少なくなった(図01~02)。

図01 Windows 8が認識したデバイスを管理する「デバイスマネージャー」

図02 デバイスを使用するにはデバイスドライバーが必要となる

なお、前述した自動ダウンロードを含む機能は、Windows 7から導入された「デバイスステージ」によって実現されている。各デバイスを模した「リアルアイコン」の採用や、デバイスに対する設定や操作などを一カ所から実行する同機能はWindows 8にも引き継がれた。ベンダー側の対応が必要なため、すべてのデバイスに対してリアルアイコンが用いられることはないものの、デバイスを視覚的に把握できるのは長所の一つに数えてもいいだろう(図03~04)。

図03 Windows 8では、デバイスステージと呼ばれる機能が初期状態で有効になっている

図04 コントロールパネルから呼び出せる「デバイスとプリンター」。各デバイスにはリアルアイコンが用いられている

ちなみにMS-DOSでは、起動時にシステムファイルを呼び出す「Config.sys」というファイルがあり、「DEVICE=……」と記述していた。そのため、メモリ管理などを行うファイルを「デバイスドライバ」と称していたが、FEP(日本語フロントエンドプロセッサ)も同じ記述で組み込んでいたことを踏まえると、ハードウェアだけを対象にした表記ではなかった経緯を知ることができる。

阿久津良和(Cactus