日本のみそ汁、タイのトムヤムクン、ロシアのボルシチ……。スープには案外お国柄がはっきり出ていています。それぞれの国のお母さんが作る、温かい家庭料理のようなものではないでしょうか。日本に住んでいる外国人20人に、母国ならではのスープを聞いてみました。
■ミネストローネ
北イタリアの料理です。私はおばあさんの作る、エンドウ豆をつぶした濃いスープのミネストローネが好きでした(イタリア/男性/30代前半)
日本でもすでに定番となっているスープですね。イタリアの片田舎のお家で、おばあさんが大きなお鍋に入ったスープをコトコト煮込んでいる姿が目に浮かぶようです。
■ベイクドポテトスープ
ポテトスープにクリーム、バター、玉ねぎ、ベーコン、ペッパーを入れる。おいしいけどヘルシーではない(アメリカ/女性/20代後半)
ジャンクフード天国! といえばアメリカ。普通においしそうな組み合わせですが、確かに脂肪分たっぷり!
■モロヘイヤ・スープ
モロヘイヤの葉を細かく切って、ウサギの肉または鶏肉から取ったスープに混ぜ、ニンニクをバターで炒めたものを混ぜたスープです(エジプト/男性/40代後半)
モロヘイヤは栄養価の非常に高い野菜。アラビア語で「王様の野菜」という意味だそうです。エジプトの王様が大病を患った時、このスープを飲んだらたちまち治った、という逸話もあるとか。クレオパトラも美容のために食べていたらしいですよ!
■ラグマン
日本のうどんに似ています。ただし、普通のうどんより脂っこいです(ウズベキスタン/男性/20代後半)
ラグマンはウズベキスタンを代表する料理で、トマトをベースに羊などの肉、野菜を煮込んだめん入りスープ。中国からシルクロードを通って伝わったという説があります。ラーメンの起源かもという説もあるくらいで、もしや、ラグマン→ラグメン→ラーメン!?
■エルテンスープ(えんどう豆スープ)
えんどう豆で作った濃いポタージュスープ。薄いグリーンで、ソーセージなどが入っている。とても身体が温まるので冬の定番(オランダ/男性/30代前半)
寒い季節に温かいスープを飲むと、心がほんわかしますよね。日本の豚汁のようなものでしょうか。もっとも、このスープはよくよく煮込んでいるので、おかゆのように濃厚だそうです。あつあつのスープ、ゆっくり時間をかけていただきましょう。
■ヴルテ
いろいろな野菜を合わせて作る厚みのあるスープはポタージュと呼ばれ、家庭ではよく食べるが、外食では薄いスープ(コンソメ)か、クリーミーなVeloute(ヴルテ)が多い(フランス/女性/20代後半)
ヴルテとはフランス語で「ビロードのような」という意味。なめらかで口当たりのいいイメージですね。ヴルテをベースとして味付けし、ソースとして使うこともあるそうです。そういえばフランス料理ではポタージュスープのようなソースを使っていることがあります。
■レンコンスープ
食材はレンコン、豚骨、べになつめなど。軽やかな味がしながら薬膳(やくぜん)の味もしていて若干甘い(シンガポール/男性/20代後半)
軽やかで、薬膳が効いていて、甘みもある。なんて複雑な味! シンガポールは多民族国家ならではの多彩な食文化が楽しめる国。そして常夏な国のため果物も豊富。梨・りんごなどのフルーツとポークを使った中華風スープもあるそうです。カレーにりんごとはちみつが合うぐらいですから、きっとおいしいのでしょう……。
■Puchero(プチェロ)
日本のポトフみたいな感じです。毎週日曜日にBBQ食べる事が多いんですけど、その残りを使って、月曜日にポトフみたいPuchero(プチェロ)っていうスープ? を食べる事が多いです(アルゼンチン/男性/20代後半)
日曜日はBBQでがっつり! そして月曜日は残り物を使った、おなかにやさしいスープをいただく。身体のためにも、食べ物を大切にするためにもとてもいいアイデアですね。
定番スープはどこの国でも日常に根付いています。日本には様々な国のレストランがあり、気軽に各国の料理をいただくことができますが、その地域の風景や料理の成り立ちなどを思いながら食べると、また違った味わいを楽しめるかもしれません。