Forbesの報道によれば、Pacific CrestのアナリストAndy Hargreaves氏が11月26日(現地時間)、米Appleの株価目標を670ドルから645ドルに引き下げたという。iPhone 5の高コスト体質により同社の利益率が悪化しており、それを受けたもの。原稿執筆時点の株価(589.53ドル)から考えればこれでもまだ高水準だが、Appleの株価目標引き下げを表明するケースは比較的珍しく、アナリストや投資家の間でも警戒感が広がりつつある様子がうかがえる。

同件はHargreaves氏が投資家向けレポートの中で発表したもの。それによれば、Appleが2012年10~12月期の間のiPhone 5販売コストは353ドルから370ドルへと上昇し、それによってグロスマージンが当初予測の40%から38.8%まで減少することが見込まれるという。これにより同四半期のEPSの目標値も15.28ドルから14.76ドルへと減少し、同社会計年度で2013年度のEPSは53.36ドルから51.49ドルへと悪化する可能性があるという。同氏はこの状況について「iPhone 1台あたりの販売利益はピークを過ぎた感がある」と説明する。2007年のiPhone販売スタートから2012年第2四半期(1~3月期)までの間、iPhone 1台あたりの販売利益は150ドル未満から290ドルにまで上昇しているが、今後iPhone 5が現役端末として活躍していく1年間はこの水準を達成するのが難しいと考えているようだ。

なお、株価目標を引き下げたとはいえ、Hargreaves氏は同社株を引き続き買い推奨としているという。これまで比較的強気な予測が多かったApple株価目標だが、さまざまな要因から以前ほどの強気な買い推奨はみられなくなりつつあり、一時は700ドルまで上昇したApple株価も当面のピーク水準に達した感がある。