我々には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りする。今回取り上げるキーワードは、設定などの情報を格納するデータベース「レジストリ」だ。

Windows 8キーワード一覧

「ピン留め」「ジャンプリスト」とは
「デスクトップ」とは
「タスクバー」とは
「エクスプローラー」とは
「Windowsストアアプリ(Windows Store app)」「デスクトップアプリ(Desktop app)」とは
「チャーム(Charm)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは

「レジストリ(Registry)」

レジストリ(Registry)

Windows 8やアプリケーションの設定、検出したハードウェア情報、ファイルタイプの関連付けなど各種情報を格納したデータベースの呼称である。Windows 3.1以前は各種設定をテキストファイルで管理していたが、格納情報が増えることでパフォーマンスが低下することを鑑み、Windows 95から導入されたデータベースの一種。ただし、Windows 3.1にもレジストリ機能は備わっており、関連付け設定の実体となる「Reg.dat」を管理する「登録エディタ」が用意されていた(図01)。

図01 Windows 3.1の「登録エディタ」。後のレジストリエディターである

Windows 95から現在のWindows 8に至るまで、ほぼすべてのデータをレジストリ上で管理し、各ソフトウェアはOSが定めたルールに従って、レジストリ上にエントリに格納した情報を参照している。ユーザーがレジストリを参照および編集する場合は「レジストリエディター」というGUI(グラフィカルユーザーインターフェース)ツールを使用するのが一般的。この他にもコマンドラインから操作する「reg.exe」やPowerShellからも操作可能だ(図02~04)。

図02 レジストリデータの実体は「%windir%\System32\config」フォルダーに格納されている

図03 ユーザーのレジストリデータは「%USERPROFILE%\フォルダーに格納されている

図04 レジストリの編集は「レジストリエディター」などのツールを利用する

レジストリの構造は、コンピューター全体の設定を格納するHKEY_LOCAL_MACHINEキーや、各ユーザーの情報を格納するHKEY_USERSキーなど用途によって異なるルートキーを用意。レジストリのデータ型も格納する内容によって文字列値(REG_SZ)やDWORD値(REG_DWORD)を使い分けている。なお、Windows Vista以降導入されたUAC(ユーザーアカウント制御)によってレジストリの一部を仮想化。書き込み要求が発生した際は、仮想化した特定のキーへリダイレクトし、読み込み要求時も仮想化したキーを参照してから、次に本来のキーを参照する仕組みを用いている。

レジストリのエントリを編集することでWindows 8やアプリケーションの動作を制御できるが、誤操作によってエントリを削除すると、最悪の場合はOSが起動しなくなる可能性がある。そのためレジストリの編集は、OSの構造をある程度理解していない場合は避けるのが賢明だ。

阿久津良和(Cactus