セガネットワークスは11月19日、都内で「SEGA_Apps タイトル体験会 2012」を開催し、今冬リリースの新作5タイトルを発表した。開発担当者自らがそれぞれのゲームをプレゼンテーションした後、タッチアンドトライの時間が設けられた。
冒頭にセガネットワークス代表取締役社長・里見治紀氏が登壇。セガの持つ技術力と蓄積されたノウハウを、スマートデバイスで展開するために今年7月に設立されたという同社の経緯を紹介し、「スマートデバイスのスペックを最大限に引き出せるようなタイトルを制作している。時代の半歩先を目指したコンテンツを提供していきたい」と意気軒昂に開会のあいさつを述べた。
続いて執行役員・事業本部長の岩城農氏が今冬の戦略について説明を行った。セガネットワークスを体現しているのは「セガブランド、スピード、スマートデバイスの3つのS」であると紹介。セガグループの何物にも替えがたい資産であるという「グループ全体で1000名を超える優秀な開発部隊」と、「家庭用、業務用市場で築き上げた多様なジャンル」、そして「ベンチャー企業を凌駕するスピードと実行力」、「業界内外から新たに雇い入れた専門家集団とセガ開発力の融合」――こうしたセガの特長を総合し、スマートデバイス市場に新たな潮流を作り上げることをミッションに掲げているという。
続いて市場を簡単に表したグラフを提示。社の方針を立てる際に、今までの資産を切り捨て、ソーシャルゲームのメインストリームである、カードコレクションに代表されるような「F2P/ブラウザゲーム」あるに注力すべきか、元々の強みである「売り切り/ハイエンド」志向を続け、「F2P/ブラウザゲーム」は無視しても良いかの選択を迫られたが、答えは「いずれもNO」だったという。
岩城氏は「正直に言うとソーシャルゲームは苦手な分野。非常にソリッドなビジネスモデルであるし、学ぶべきことも多い」と打ち明ける。そこで、セガの取るべき道は「他社との協業によりノウハウを貯め、深いゲーム性を備えたブラウザゲームを打ち出すこと」、つまり右上に位置する新しいジャンルを切り開くことだったと説明する。この日、披露される5タイトルはいずれもこの方針に沿い、「没入できるほど深いゲーム性を持ちながら、モバイルの特性を活かしたもの」であると強調した。
それではいよいよ、注目の5タイトルを紹介しよう。
初音ミク ライブステージプロデューサー
プロデューサーの秋山隆利氏曰く、「スマホでミクを楽しんで欲しいという思いから誕生した」という本作。トレーニング次第でユーザー好みのミクを育成でき、モジュールや楽曲が自由に選べる3Dミクのスペシャルライブも楽しめる。全国各地のプレイヤーと競っていちばんのミクを決めることも可能。「ユーザーさんの理想とするミクさんを作って欲しい」と話す秋山氏が想定する遊び方のシチュエーションは「通勤の道中、大好きな楽曲を聴きながら気軽に」。楽曲は随時更新予定で、幅広いユーザー向けにコンテンツを織り込んでいるという。また、ミク自身を育てるだけではなく、衣裳替えや、ライブハウスのインテリアをデザインするといった箱庭的な遊びができる点が魅力だ。
iOS版、Android版ともに11月下旬にサービスイン予定。
【試遊の感想】
「ライブハウスの店員を雇おう」「チップを回収しよう」といったクエストが随時発生。それをこなすことで報酬を得て、ライブハウスのカスタマイズや、ミクのトレーニングをしてゆくという流れ。トレーニングによって伸ばせるスキルは「うた」「ダンス」「トーク」「バラエティ」「かわいさ」「スタイル」の6項目に分かれており、どのようにポイントを振り分けるかで自分だけのミクを育てることが出来る。タッチアンドトライでは、歌は下手でも見た目重視! とばかりにかわいさとスタイルだけを上げてみた。続けていくとどうなるのか、実に気になる。
クエプラ―Quest of Planet―
「フル3Dはソーシャル初なのでは」と誇らしげに紹介するプロジェクト・マネージャーの谷昌宏氏とディレクターの平井徳一氏。呪いによって暴れ出した"悪いモンスター"、略して"ワルモン"を簡単操作で退治していく育成RPGで、仲間との協力プレイがカギとなる。時折出現する強力な"ボスワルモン"をフレンドと力を合わせて撃退することで、様々なアイテムが手に入るという。「ワンパンだけして、友達いっぱい作ってアイテムいっぱいゲットしようという、そういうゲームですね。ウハウハでございます」と谷氏。
12月上旬サービスイン予定(iOSのみ)。
【試遊の感想】
"モンタマ"をフリックしてフィールドに投げると、"ワルモン"が出現。バトルが自動で始まり、一気にカタを付ける。一連の動作はリズミカルで効果音も心地よく、作業のように感じることはなかった。プレイヤーは分身である顔、髪型、装備を比較的自由にカスタマイズできる。フレンドの外見と比べるのも楽しそうだ。
Kingdom Conquest II
全世界350万ダウンロード、全世界RPGランキング1位、国内Appストアランキング年間1位という記録を打ち立てたシミュレーションRPG『Kingdom Conquest』(2010)の正統後継作。プレイヤーの本拠地は2Dから3Dへ進化を遂げ、あらゆるビジュアルが面が改善された。アクションパートには新たに「僧侶」「忍者」が加わり、パーティ編成の幅が広がったほか、カードバトルの戦略性も格段にアップ。プロデューサーの椎野真光氏は「シンプルだが奥深い、そんなバトルを目指した」と自信をのぞかせる。また、特筆すべきは「全世界9カ国語対応」。これまでの日本語、英語、フランス語、ドイツ語、スペイン語、中国語(簡体字)の他、今作からは韓国語、中国語(繁体字)、ポルトガル語のサポート機能が実装された。メール、チャット、SNSに自動翻訳機能を組み込み、ワールドワイドなユーザー同士のコミュニケーションを可能なものにしている。
iOS版、Android版ともに12月中旬サービスイン予定。
【試遊の感想】
最初に目に飛び込んできた「本拠地」のグラフィックの美麗さに圧倒された。タッチアンドトライの時間内ではほとんど何もできなかったが、ソーシャルゲームはここまで来ているのか、というインパクトを残すには十分な印象。
クイズ Answer×Answer Pocket
2007年7月から全国のアミューズメント施設で稼働中のアーケードクイズゲーム「Answer×Answer」のiOS版がついに登場する。アーケード版の利用者数は累計およそ1200万人。各地にクイズコミュニティができ、中にはユーザー同士で結婚したカップルもいるという。この日が初お披露目となったiOS版は問題数10万問以上とクイズジャンルのソーシャルゲームとしては圧倒的な量を誇り、問題ごとにデータを集計している。また、ライフがなくなるとなぜか捕まってしまうなど、「おもしろければいいやという要素が満載」とプロデューサーの渡邊正勝氏は語る。
12月中旬サービスイン予定。
【試遊の感想】
日本中を旅しながら、各地に点在するチェックポイントでミッションをクリアしていくというスタイル。クイズは早押し、四択ほか様々な形式でテンポ良く出題される。筆者はクイズゲーム好きなのだが、スポーツジャンルが圧倒的に不得手であるため、行き詰まることも多かった。本作にはフレンドと協力することで苦手ジャンルの正解率を上げられるという素晴らしい機能が実装されている。途中で投げ出すことなく続けられそうだ。
ドラゴンコインズ
「コインプッシャーとRPGの融合」という今までにない新感覚ゲーム。コイン落としの要領で落としたコインをモンスターに食べさせることでレベルを上げながら、敵モンスターを退治していく。セガ オンライン研究開発部 部長の瀬川隆哉氏は「セガのメダルゲーム機を何台も開発室に持ち込んで徹底的に研究しました。コインプッシャー、モバイルゲーム、モンスターという、セガの集大成の作品と言っても過言ではありません」と断言。モンスターを収集、育成する要素も併せ持ち、「SNSゲームに飽きてきたという方にも、戦略性が高くハマることは間違いない」(瀬川氏)。
iOS版は11月下旬、Android版は今冬サービスイン予定。
【試遊の感想】
コイン落としというと地味なイメージが先行するが、そこは人を楽しませて半世紀以上の歴史を持つセガ。コインをうまくつなげて落とすと小気味良い効果音とともにボーナスコインが降り注ぎ、敵への攻撃コンボが炸裂する。このギミックは人が快感を覚えるツボをよく押さえている。短い時間の中でちょっとやみつきになりかけた。
『初音ミク ライブステージプロデューサー』をのぞく4タイトルは現在事前登録を実施中。事前登録者にはゲーム内で使用できるスペシャルアイテムが贈られる。