個人所有のパソコンやスマートフォンなどの情報機器を業務に使う「BYOD(Bring Your Own Device)」の導入は、コスト削減や業務効率化を図れるというメリットから関心が高まっている。

そこで今回は、BYODにおける携帯電話の利用と通信料金の実態について、マイナビニュース会員にアンケートを実施した。期間は10月29日から11月1日までで、919件の有効回答を得た。

約3割が1日1回以上、携帯電話を仕事で使用。しかし、会社からの貸与は全体の2割にとどまる

アンケートではまず、仕事の際にどのくらいの頻度で携帯電話を使うかを尋ねた。すると、1日に最低1回は仕事で携帯電話を使う人が、31.0%(285人)いることがわかった。利用する回数は「1日10回以上」と回答した人が6.6%(61人)、「1日5回以上(10回未満)」が7.8%(72人)、「1日1回以上」が8.7%(80人)となった。

そのほか、「2、3日に1回」が8.9%(82人)、「1週間に1回以下」が20.2%(186人)、「使わない」が39.7%(365人)となり、仕事で携帯電話をまったく使わない人が約4割いることがわかった。

どのくらいの頻度で仕事で携帯電話を使うか、に対する回答

次に、仕事で携帯から電話をかける相手として、どこが多いかを尋ねた。すると、「自社」が56.5%(519人)、「顧客・クライアント」が19.0%(175人)、「協力会社」が6.4%(59人)などとなった。

仕事で携帯から電話をかける相手としてはどこが多いか、に対する回答

続いて、会社から携帯電話を貸与されているかを聞いた。回答は「貸与されていない」が76.1%(699人)と7割を超えた。「貸与されている」という回答は23.9%(220人)で、スマートフォンが全体の3.7%(34人)、携帯電話が13.7%(126人)、PHSが6.5%(60人)という結果となった。

会社から携帯電話を貸与されているか、に対する回答

BYOD導入のポイントは通話料/通信料負担の解決やオンとオフの使い分け

次に、BYODの実態を確認するために、仕事で使っている個人所有の情報機器があるかを質問した(複数回答可)。すると、「携帯電話」を使っているという回答が18.8%(173人)ともっとも多く、次いで、「ノートPC」の15.9%(146人)、「スマートフォン」の14.2%(130人)と続いた。

仕事で使っている個人所有の情報機器があるか(複数回答可)、に対する回答

一方、「使っていない」と回答した人は59.0%(542人)だった。また、現在は使っていないが、今後仕事でも使いたい個人所有の機器があるかを聞いたところ、「タブレット端末」が14.7%(135人)、「ノートPC」が10.8%(99人)、「スマートフォン」が9.5%(87人)となった。しかし、「使いたいと思わない」という回答が最も多く、66.0%(607人)だった。

現在は使っていないが、今後仕事でも使いたい個人所有の情報機器があるか(複数回答可)、に対する回答

そこで、個人所有の情報機器を「使いたいと思わない」と回答した607人に対し、使いたくない理由を尋ねた(複数回答可)。すると、「通話料/通信料がかかるから」という理由が53.4%(324人)と最も多く、43.0%(261人)の「オンとオフを分けたいから」という理由が続いた。

個人所有の情報機器を仕事で使いたくない理由は? に対する回答

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今回のアンケートでは、約3割の人が1日1回以上、携帯電話を仕事で使用しているが、会社からの貸与は全体の2割にとどまることがわかった。このギャップからは、今後個人の携帯電話を業務に活用するBYOD導入の余地があると考えられる。また、現状の個人所有端末の業務利用では、携帯電話、ノートPC、スマートフォンなどを使っているという回答が多く、今後、仕事で使いたい情報機器としてはタブレット端末、ノートPC、スマートフォンという意見が多く寄せられた。

経営者側としては、BYODには端末を支給する費用や、割安な通話料によるコスト削減というメリットがある。また、従業員側は、場所にとらわれない働き方の改革や、高機能のスマートフォンを業務に活用するなどの効率化などのメリットがある。そのため、BYODは経営者側、従業員側の双方にとって利点があると言えるが、まず必須の前提条件となるのが通信料や通話料の公私分計だ。

実際に、個人所有の携帯電話を仕事で使いたくない理由でもっとも多かったのが、通信料金がかかることだった。BYODにおける通話料金や通信料金の精算をいかに簡単に行うかが、BYODを導入する際の課題だと言える。また、業務で利用する電話番号とプライベートで利用する電話番号を使い分けて、「オンとオフの使い分け」をしたいという声が多いことも見逃せない。実はこのような課題を解決するためのサービスも既に存在しており、NTTコミュニケーションズなどが法人向けにサービスを展開している。

アンケートからは、今後BYODが拡大していく余地はうかがえた。「公私分計」や「オンとオフの使い分け」といった課題をうまく解決するサービスやソリューションを選んでいくことで、企業のBYOD導入はさらに進展するのではないだろうか。

携帯電話の業務利用についてのアンケート

調査時期 : 2012年10月29日~2012年11月1日
調査対象 : マイナビニュース会員
調査数 : 919件
調査方法 : インターネットログイン式アンケート