日本マイクロソフトは12日、都内の同社オフィスにてWindows 8の新製品と新サービス、および年末商戦へ向けた販売戦略に関して説明するプレスイベントを開催した。登壇した樋口泰行社長らがWindows 8の発売前後の状況について振り返ったほか、次期Officeについても言及され、質疑応答では「Surface」の日本国内での発売についてコメントするなど、来年以降の戦略も含んだ説明となった。
「日本市場での盛り上がりの大きさを感じている」という樋口社長
説明会の冒頭に登壇したのは、同社代表執行役 社長の樋口泰行氏。
日本市場では年内に13メーカーから250種類以上のWindows 8搭載デバイスが発売される見込み。これについて樋口社長は「250機種以上というのは、世界的にみても大きい数。日本市場での盛り上がりの大きさを感じている」と話した。ちなみに先月、Windows 8の発売にともない秋葉原では記念イベントが行われたが、記念品として配布された紙袋6,000個と新聞号外8,000部は早い時間になくなったという。また、ニコニコ動画で配信された放送を視聴したユーザ数は23万人にのぼり、15万コメント(うち好意的なコメントは91.2%)が書き込まれたことも明かした。
Windows 8の販売にあたっては、家電量販店などの店頭に立つ販売スタッフの教育も進めており、すでに1万9,000人のトレーニングが終了したという。そのほか11月末までに166店舗で計852回の「Windows 8店頭デモ」を行う予定であることも明かした。樋口社長は「人気機種は、すでに品薄のものも出始めていると聞いている。今後ますますラインナップが充実していくので、大きな期待を抱いている」と結んだ。
190カ国において12億4,000万時間にもおよぶテストを行なった
続いてMicrosoftで北米以外のビジネスを統括するインターナショナルプレジデントを努めるジャンフィリップ クルトワ氏が登壇。Windows 8に関するワールドワイドの状況について説明した。クルトワ氏は「日本で行われたイベントでは、1万人以上の参加者を記録した。当日は秋葉原の街がWindows 8のデバイスであふれていたと聞いている。Windows 8に対する期待感が大きかったことがうかがえる」とした上で、グローバルにおいては「ローンチ後の最初の3日間で400万以上ものアップデートセールスがみられた。現在、世界130以上の市場で展開されている。人々はタブレットの利便性を選ぶか、ノートPCの生産性を選ぶかという選択から解放され、ひとつのWindows 8搭載デバイスで全てを行うことが可能になった」とアピールした。
なお今回のWindows 8リリースに際しては、事前に190カ国において12億4,000万時間にもおよぶテストを行ったとのこと。その結果、非常に多くのハードウェアとソフトウェアに対して互換性を確保できたという。「ローンチ時にマイクロソフトが認証したデバイスは1,000におよぶ。リリース前に、これだけのテストを繰り返した例はこれまで存在しない」とし、"素晴らしいハードウェアには素晴らしいソフトウェアが必要である"という持論を展開。Windows 8が、いかに優れた製品であるかを強調した。
従来OSのユーザー向けには、タッチ非対応機におけるWindows 8の価値を訴求
最後に、日本マイクロソフト 執行役常務 コンシューマー&パートナーグループ担当の香山春明氏が登壇し、販売戦略について説明した。年末商戦に向けて日本マイクロソフトではWindows 8の価値訴求、および次期Officeの無償アップデートについてアピールしていくという。
Windows 8搭載デバイスについては、250機種以上が年内に発売される予定。また軽量、薄型、長時間バッテリーが特徴となるWindows RT搭載デバイスについてもASUS、NECなどからリリースされる。香山氏は「店頭においては、Windows 8の"8つの新機能"を徹底的に訴求していく」とする一方で、「従来のOSを利用しているユーザにはタッチパネル対応デバイスでなくてもOSのアップデートをする価値が充分あることを訴えていく」とした。その言葉を裏付けるひとつの材料となるのが、タッチ操作が可能になる「タッチマウス」の存在。この周辺機器を利用することで、既存のPCでも快適なタッチ操作が利用可能になる。
また、現在リリースされているOffice 2010搭載のWindows 8 PCについては、デスクトップ上に、Office 2013へ無償でアップデートできるショートカットアイコンが設置される。これにより、ユーザは簡単にアップデートが利用できるという。このほか、店頭での展開にも力を入れていく。量販店にはWindows 8の知識が豊富な「Windowsアソシエイト」の資格を持ったスタッフを揃える方針。すでに19,000人以上が資格を取得したという。また、年内にはのべ18,000回にもおよぶWindows 8体験会を店頭で実施する。
Surface日本発売の可能性は否定せず
質疑応答では、登壇した3氏が記者団の質問に答えた。
Windows 8搭載デバイスの価格はどれも割高な印象だが、iOSやAndroid OSを搭載したタブレット端末とどのように渡り合うのか――との質問にクルトワ氏は「Windows 8では、様々な利用シーンに合わせた商品を幅広く用意している。付加価値が違う。従来のPCで利用していたソフトウェアも活用できる」と回答。樋口社長は「タブレットでの利用しか想定していない他のOSを搭載した製品とは、商品価値が全然違う。製品のバリエーションも豊富で、Office製品も活用できる」と強調した。低価格帯の製品が投入される可能性はあるか、との質問に香山氏は「これはメーカー様との間の話にもなる。この場でお答えすることは難しい」と回答するにとどまった。
また、米国で販売されている「Surface with Windows RT」の日本発売はないのか――という質問に対しては、「いつ出す、ということを明言することはできないが、日本市場で関心が高いということは承知している」といい、今後発売となる可能性について含みを持たせた。
3氏のスピーチと質疑応答で第1部は終了。第2部として、別室にはOEM各社からリリースされているWindows 8搭載デバイスの展示が行なわれたほか、Windows RTなどについて説明するブレイクアウトセッションも実施された。のちほど、それらの模様も別稿でお伝えする予定だ。