現在公開中の映画『009 RE:CYBORG』は、石ノ森章太郎の『サイボーグ009』を原作に、『攻殻機動隊S.A.C.』シリーズや『東のエデン』などで知られる神山監督が脚本・監督を手がける完全新作。3DCG制作で2Dセルテイストな表現に極限まで挑戦した作品であり、2013年、ロンドン、モスクワ、ベルリン、ニューヨーク、上海と世界中で連続する高層ビル爆破テロが起こる世界を舞台に、全く新しい『サイボーグ009』が描かれている。

主人公・009/島村ジョー役を演じる、声優は宮野真守。これまでも数々の作品で主役を勤め、人気・実力ともにトップクラスの存在として活躍を続けている。今作は、神山健治監督作品、フル3DCGによる立体視映像、そして故・石ノ森章太郎氏による歴史ある名作と、制作発表時から大きく注目を集めたが、その中でどのように役に挑んだのだろうか。話を伺った。

――始めに島村ジョー役が決まった時の感想を聞かせてください

最初に、オーディションの話を頂いたこと自体にとてもビックリしました。歴史ある作品ですし、今回の映画ではまた新たな物語を構築して、新しい"009"を作っていくという、かなりチャレンジングな作品だと思ったので、オーディションを受けられる事そのものがとてもうれしかったです。

宮野真守
1983年6月8日生まれ 埼玉県出身
劇団ひまわり所属 2008年、第二回声優アワード主演男優賞受賞、TAF東京アニメアワード声優賞受賞。2012年アニメージュ第34回アニメグランプリ声優部門にてグランプリ受賞。代表作『DEATH NOTE』(夜神月)、『STEINS;GATE』(岡部倫太郎)、『機動戦士ガンダム00』(刹那・F・セイエイ)、『ウルトラシリーズ』(ウルトラマンゼロの声)など
撮影:伊藤圭

――完成した作品をご覧になっていかがでしたか

感動しました。3Dで観させていただきましたが、本当に見入ってしまう作品でした。僕らは神山監督の作る絵の美しさと迫力に圧倒されながらアフレコをしていました。その時も思ったのですが、CGアニメーションではあるのですが、僕らになじみのあるアニメーションの見え方ということに、とても不思議な感覚がありました。動きがとても人間的で、でもセルルックで……初めて体験する感覚だったので、不思議な感覚も楽しみながら演じさせていただきました。

――いろいろと見どころの多い作品だと思いますが、一押しのシーンやセリフは?

やはり、「加速装置」というセリフを言わせていただいたのがとても感動的で、言った瞬間、震えました。実は本編より前にプロモーション映像用に収録したんですけど、その時は「加速装置」という言葉だけで……島村ジョーとしての物語を演じて行く前にそれだけを言った時が一番緊張しましたね。落ち着いて言うのか、張り上げていうのか、もっとヒーロー的に言うのか、スタッフさんと手探りしながら何テイクも重ねていきました。でも、自分も歴史に名を残せたのかなと感慨深かったですね。(本編では)記憶を失っていて、その記憶が呼び覚まされた時に、大切な人を守るために加速装置を使う、すごく感動的なシーンだと思います。

――歴史のある作品ですが、今回のジョーを演じるにあたって難しかったところはありますか

やはりその物語の中での役割というか、新しい『009 RE:CYBORG』という作品で何を伝えたいのか、島村ジョーが何を目的にして進んでゆくのか、そこをしっかりと意識できるかな、ということを考えました。歴史ある作品ですが、神山監督が新しい事にチャレンジしているので、僕も今までに無いジョーを出すために、その作品の中での割をまっとうしようという思いが強かったですね。もちろん、原作も読ませていただいて、愛情やリスペクトをしっかりと胸におきながら、新たなジョーとして活躍できればいいなと。……続きを読む