BMWが発売する「MINI」は、日本でも熱烈なファンを多く抱える自動車ブランドである。10月20日、そんなMINIファンのためのサーキットイベント「MINI Connection 2012」が袖ヶ浦フォレストレースウェイにて開催され、日本中から多数のMINIオーナーが自慢の愛車に乗って駆けつけた。

天候にも恵まれ、大勢のMINIユーザーが集まった

ニューモデルの他にクラシックモデルのMINIも展示

洗車パフォーマンスなど華やかな催し物が実施された

俳優の岩城滉一もMINIオーナー

イベントではMINIのニューモデルのお披露目や、ドッグコンテスト、アーティストによるライブステージなど数々の催し物が行われ、さらにはMINIオーナーとしても知られる俳優の岩城滉一がスペシャルゲストとして登場するなど大きな盛り上がりを見せていたのだが、中でも筆者が特に気になったのがMINIが新しくリリースするというカーナビアプリ「MINI NAVI」であった。

あのMINIがカーナビアプリをリリース

iPad iPhone Wire記者として、これはチェックしないわけにはいかないだろう。

さっそくブースにて解説ムービーを見てみることにした。「MINI NAVI」を使うには、まずアプリを起動し、iPhoneを運転席のクレイドルにセットする。すると、驚くべきことにアプリがMINIと接続され、運転席のセンターメーターにアプリメニューが表示されるのだ! す、すごい。これまで色々なナビアプリを見てきたが、車自体と接続できるナビアプリはおそらく初めてなのではないだろうか。まさに未来のカーナビシステムだ。「MINI NAVI」の名前を冠するだけのことはある。

iPhoneをセットするとセンターメーターにメニューが表示される

映像を見ながら感動していると、やってきたスタッフにパンフレットを手渡された。ページをめくっていくと……。

パンフレットもかっこいい。さすがMINI

あれっ?

んっ?

そこに書かれてあったのは、「このアプリはアイシン・エィ・ダブリュ(株)製のNAVIeliteをMINI専用にカスタマイズしています」という一文。

そう、実はこの「MINI NAVI」をサポートしているのは、iPad iPhone Wireで何度も取り上げたことのあるカーナビアプリ「NAVIelite」だったのだ!

「NAVIelite」といえば、本格的なカーナビと同等の機能を有する定番アプリ。カーナビとしての完成度の高さは過去記事でも紹介した通りであり、その意味ではBMWがパートナーに選んだとしても何ら不思議はないのだが、しかしいったいどういった経緯でこのようなコラボレーションが実現したのだろうか。どうしても気になった記者は、ブースの近くにいたアイシン・エィ・ダブリュの担当者をつかまえて話を聞くことにしたのだった。

ナビ事業本部ソフト開発部次長・牛田孝一氏(左)とナビ事業本部第1営業部担当員・倉地尚徳氏。この他、現地にはナビ事業本部第1営業部副部長・廣瀬功司氏の姿も

――驚きました! 「MINI NAVI」はNAVIeliteをカスタマイズして製作されたものだったんですね。

廣瀬:ついに「MINI NAVI」が誕生しました!

――せっかくなのでお話を聞かせてください(笑)。どういった経緯で「MINI NAVI」にNAVIeliteを提供することになったのですか?

廣瀬:2011年の1月にNAVIeliteをリリースしたのですが、そのとき巷には本格的なカーナビアプリがなかったこともあって評判になったんです。それから半年くらい経ったタイミングで、MINIさんが日本向けにMINI Connectedを導入するという企画がありまして、その一環であるナビアプリに何がふさわしいのかということで我々にも声がかかり、選んでいただいたという流れですね。

――企画としては昨年からスタートしていたわけですね。

廣瀬:昨年はカーナビアプリの波がきて盛り上がっていた時期だったので、タイミングもうまく合ったんだと思います。

「MINI Connection 2012」イベント会場で急きょインタビュー実施

――「MINI NAVI」はNAVIeliteをMINI専用にカスタムしたということですが、どういった点が違うのか教えていただけますか。

牛田:最大の違いは、「MINI NAVI」のメニューを運転席の「ビジュアルブースト」に表示して、ジョイスティックで快適に操作できる機能です。その際、メニューのアイコン表示などはiPhone側からは消えますので、地図を広く見ることができるんですよ。

――車とカーナビアプリが一体化した画期的なシステムですね。

展示されていた車内の様子。iPhoneを接続することで左の「ビジュアルブースト」にメニューを表示する

目的地選択の画面はこんな感じ。メニュー周りのデザインはMINI用に一新されている

牛田:もうひとつ、ナビゲーションのアイコンをMINIの各モデルから選べるのも大きな特徴です。MINIのオーナーさんは愛車に対するこだわりを強く持っておられる方が多いので、こういったビジュアル面にもこだわって作っています。

倉地:よく見ていただくと、オープンタイプのROADSTERの場合はシート形状まで作りこんであるのがわかると思います。また、道を曲がる際にはMINIの動きをビジュアルで見せているのですが、数十種類のパターンを用意していて、曲がる角度などもきちんと再現しているんです。

――ものすごく細かいところまでこだわっているんですね。

廣瀬:当たり前ですが、こういった車の操作系に合わせたカーナビアプリは、MINIさんのこだわりがなければ実現しなかったことなんです。その意味でも我々が「MINI NAVI」をサポートできたことは嬉しいことですね。。

牛田:その他の違いとしては、まずメニューや地図の表記などのほとんどを英語に対応させたこと。MINIのオーナーさんには外国の方も多いので、そういった要望があり対応しました。また、車両と接続することで車速などの情報が取れるため、トンネルなどGPSが届かない場所でも自車位置精度を保つことが可能です。さらにGoogleマップとも連携していて、「MINI NAVI」側で目的地を設定しておくと、iPhoneをクレイドルから抜いたときにナビをGoogleマップに引き継ぐことができるんですよ。これも「MINI NAVI」ならではの機能ですね。

――え、それは思い切った機能連携ですね!

牛田:本当は歩行ルート案内も自力でやりたいのですが、まだ満足いくレベルではないので、だったらGoogleマップに引き継げばいい、と。

――非常に柔軟な姿勢ですね。もうカーナビはスマートフォンで十分という時代もくるのでしょうか。

廣瀬:従来のカーナビがなくなるわけではなく、共存していくでしょうね。スマートフォンだとどうしても大きなビジョンで見ることはできませんし、後付けを嫌がるユーザーもいますから。「MINI NAVI」のように連携するスタイルも始まりましたし、ニーズに合わせた多種多様なカーナビが増えてくるでしょう。

牛田:現在、カーナビは二極化してきているとは思います。毎日運転するユーザーやカーナビそのものに安心感を覚えるユーザーはインストール型を求めると思いますし、たまにしか運転しないという方は気軽なスマートフォンアプリだけを使うこともあります。もっと言うと、より車の中の情報とディープにつながりたい方はインストール型を、車外の情報とつながりたい方はスマートフォンのカーナビを選ぶようになるのではないでしょうか。それぞれのメリットに合わせた方向に進化していくと思いますよ。

――なるほど。NAVIeliteは今後どのような進化を?

牛田:ユーザー同士がつながるような機能をアップデートで充実させていきたいと思っています。

――ソーシャル機能ですか?

牛田:ソーシャルというよりも、もうちょっとライトな感じでユーザーをつなげたいなと。ネットワークが使えるのがスマートフォンの長所ですからね。

――ありがとうございました!

MINIとNAVIeliteのコラボレーションは、今後のカーナビの方向性に強い影響を与えるだろう

世界最高のコラボレーションから見えてきたカーナビの未来。その先頭を走り続けるNAVIeliteの進化から目が離せない。

(提供:iPad iPhone Wire)