財務省は8日、2012年度上半期(4月~9月)の国際収支状況(速報)を発表した。それによると、海外とのモノやサービスの取引状況などを示す経常収支の黒字額は、前年同期比41.3%減の2兆7,214億円となった。上半期の黒字額としては、比較可能な1985年度以降(以後同)最少となる。
所得収支の黒字幅は前年同期比で拡大したものの、貿易・サービス収支の赤字幅が大幅に拡大したことから、経常収支の黒字幅は4期連続で縮小した。貿易・サービス収支の赤字額は、前年同期比2兆498億円増の4兆2,982億円。なお、貿易・サービス収支の赤字は3期連続、赤字額は過去最大となる。
貿易収支は過去最大の2兆6,191億円の赤字で、赤字幅は前年同期比1兆3,895億円の増加。これは、EU、中国向けを中心に輸出が減少し、鉱物性燃料の価格上昇などにより輸入が増加したことが主な要因と見られる。
輸出額は30兆9,820億円で、前年同期比2,947億円(0.9%)の減少、輸入額は33兆6,011億円で、同1兆948億円の増加。なお、輸出は3期連続の減少、輸入は5期連続の増加となる。
また、同省関税局がまとめた2012年度上半期分貿易統計(通関ベース)によると、輸出に関しては、対米国が前年同月比7,964億円(16.6%)増、対ASEANが同2,437億円(4.8%)の増加。一方、対EUは同6,177億円(16.2%)減、対中国は同5,295億円(8.2%)減となった。商品別では、自動車が前年同期比8,733億円(23.5%)増、自動車の部分品が同1,851億円(12.6%)増となったのに対し、半導体等電子部品は同1,520億円(8.3%)の減、船舶は同1,370億円(13.2%)の減となった。
輸入に関しては、対中東が前年同期比3,692億円(5.8%)増、対アフリカが同1,722億円(23.7%)増、対中国が同1,458億円(2.0%)の増加。商品別では、液化天然ガスが同5,958億円(24.5%、数量8.7%)増、原粗油が同4,740億円(8.3%、数量8.6%)増、通信機が同2,570億円(35.2%)の増となった。
サービス収支は1兆6,791億円の赤字で、赤字幅は前年同期比6,603億円の増加。旅行収支は赤字幅を縮小したものの、輸送収支が赤字幅を拡大したほか、その他サービス収支が赤字に転じたことから、赤字幅は3期連続で拡大した。
所得収支は7兆5,024億円の黒字で、黒字幅は前年同期比1,544億円増、4期連続の拡大となった。黒字幅が拡大した理由としては、直接投資にかかる再投資収益の受取増加が大きいと考えられる。
一方、資本収支については5兆6,615億円の流出超(前期5兆5,270億円の流入超)となった。