日本総合研究所調査部は7日、『オバマ大統領再選も、年明けにかけ課題山積』と題するレポートをとりまとめた。
11月6日、米国で第57回大統領選挙が実施され、現職のバラク・オバマ大統領の再選が確実になった。また、同時に実施された議会選挙では、上院で民主党が過半数を獲得する一方、下院では共和党が過半数を獲得し、現在と同じねじれ状態が継続する。
レポートによると、目下の課題は、「財政の崖」回避と、債務上限引き上げの二点。「財政の崖」をめぐっては、オバマ大統領は富裕層に対するブッシュ減税打ち切りを主張しているものの、共和党の反対は根強く、全所得層での減税継続を余儀なくされる見込みという。
強制歳出削減措置についても、「削減項目や削減幅の見直しを念頭に、回避策が議論される公算」(日本総研)。もっとも、「崖」の大きさは、依然として2,800億ドル(GDP比1.8%)に上り、「2013年初にかけての景気減速は避けられない」(同)という。
加えて、現在のペースで連邦政府の債務が増加すると、2012年12月末には債務残高が法定上限に到達する見込み。
この場合、米国債の新規発行が不可能となり、連邦政府は機能不全となる。支出の抑制などにより、最大3月頃まで上限の到達を引き伸ばせるとの見方もあるものの、上限引き上げをめぐる議論が早期にまとまらなければ、昨夏と同様に金融市場の混乱を招く恐れがあるという。
レポートによると、以上のように、「大統領と議会との協議の進捗状況次第で、2013年の米国経済が大きく左右される見通し」としている。