米Googleが「Google Wallet Card」という、クレジット/デビットカードライクなプラスチックカードの発行を計画しているという。このGoogle Wallet Cardにより、NFCの使えない場所でもGoogle Walletによる決済が可能になるようだ。またGoogle Wallet自体のアップデートも計画されており、銀行口座との出入金や個人間送金、交通カードの登録など、さまざまな仕組みが検討されている。
同件はAndroid Policeが報じているほか、TechCrunchが追加のスクリーンショットで話題をフォローしている。現在はすでに消えてしまっているようだが、TechCrunchによればGoogle Walletのサポートページに「Google Wallet Card」という文言が出現しており、その存在を確認できたという。
Google Walletは、いわゆる「ウォレットサービス」の一種であり、複数のカードや身分証になる情報を「ウォレット(Wallet)」と呼ばれるサービス上で統合管理するための仕組み。現在のところ、Google Walletは複数のクレジットカード情報を登録してオンライン決済やNFCによる非接触決済に利用したり、クーポン管理を行う程度の機能に留まっているが、将来的には複数の身分証やさまざまな小売店カード、チケットや鍵など、複数のデータを一元管理することを視野に入れている。だが現在のところ、リアル店舗での支払いにはNFCを利用した非接触決済しか手段がなく、NFC非対応の決済端末しか持たない店舗には利用できない難点があった。Google Wallet Cardはこれを補完するもので、通常の磁気ストライプのプラスチックカードとして利用でき、決済先としてGoogle Walletでの登録済みクレジットカードやデビットカードを指定できる。Android Policeが掲載したスクリーンショットによれば、同カード利用を希望するユーザーはGoogleに申請を行い、配送されたカードを再度Google Walletに登録することでサービスを利用可能になるようだ。
また先日、GoogleはWalletでCiti提携のMasterCard以外のすべての大手クレジットカードサポートを発表したが、これにともない「Google Prepaid Card」と呼ばれるテンポラリの仮想カード利用廃止を発表し、10月中に利用停止措置を行っている。これは上記提携カード以外がGoogle Walletでの非接触決済に利用できないことに対応したもので、それ以外のカードであっても、いちど「Google Prepaid Card」に「Top-up」を行って金額を"チャージ"することで、形式上すべてのカードでのNFC決済を利用可能にするものだ。だがAndroid Policeによれば、Google Walletで「Wallet Balance」と呼ばれる金額チャージの仕組みが導入され、銀行口座との間でキャッシュのやり取りが可能になるようだ。つまりGoogle Wallet内に「銀行口座」ができたものだと思えばいいだろう。このほか、このWallet Balanceを介して他のユーザーとの間で個人間送金ができたり、デモモードながら「交通カード(Transit Card)」の登録画面があったりと、かなり機能アップする様子がうかがえる。
もしAndroid Policeの情報が本当なら非常に興味深い話だが、これは同時に米国以外への海外展開の難易度が上がることを意味する。決済取引の仲介を行うのとは異なり、これら新サービスの多くは銀行と同等の機能を提供するもので、各国の法律による縛りを強く受ける形になる。特に個人間送金はマネーロンダリングの関係から制限が厳しく、国ごとのルールに適時すり合わせる必要が出てくる。また交通カードについても、おそらくはNFC (Mifare Type A/B)ベースの交通カードをターゲットにしているとみられ、どこまで対応交通機関と協調が可能かどうか気になるところだ。米国でもすでに一部都市では非接触カードを利用した交通システムが普及しており、欧州でもロンドンやパリ、ミラノといった都市で広く利用されている。前述の銀行機能と合わせ、次なるステップである海外展開についてGoogleがどのような戦略を描いているのか、適時フォローしていきたい。
(記事提供: AndroWire編集部)