ICT総研は、全国200地点において、携帯電話大手3社のLTE対応スマートフォンの通信速度を調査。11月6日にその実測結果を公開した。今回同社が実施した調査は、個人ユーザーが日常的にスマートフォンを利用する地点での電波状況の把握を目的としたもの。調査期間は10月22日から31日まで。

調査方法は次の通り。計200カ所の調査地点(施設・街区の入口付近)で、通信速度測定用のアプリケーション「RBB TODAY SPEED TEST」を利用して通信速度を計測。1つの測定地点で下り、上りそれぞれの通信速度を各3回ずつ測定した。なお、200カ所の調査地点は、札幌から福岡までの各エリアにおいて、代表的な住宅街や商業施設、公園、文化施設など25カ所ずつランダムにピックアップした。

全国200地点 通信速度測定結果(拡大画像はこちら)

下り/上りともにソフトバンクが首位! LTE受信地点数もトップに

前述の方法で調査した結果、全国200地点での平均通信速度が最も速かったのはソフトバンクモバイルだった。

平均速度においては下りが10.79Mbps、上りが5.40Mbpsで、いずれも次点のau(KDDI)を1Mbps前後上回った。特に名古屋、関西、仙台、福岡の下りの平均速度は2位以下を大きく離してトップとなった。上りの平均速度については札幌以外の7エリアでトップだった。LTE受信地点数においてもソフトバンクがトップで、全国200地点中180地点で受信(90%)した。

ICT総研ではソフトバンクの調査結果について、「以前は、局地的には通信速度の速い地点があるものの、つながりにくい地点も多いという印象があったが、9月21日に「4G LTE」サービスが開始されて以降、急ピッチでLTEネットワークが拡大していることが実感できた」と評価している。

一方、auの平均通信速度は下りが9.37Mbps、上りが4.57Mbpsで、どちらもソフトバンクより低い数値となった。auもソフトバンクと同じく9月21日よりLTEサービス「au 4G LTE」開始しているが、「LTEエリアが広がる途上にある様子は確認できたものの、ソフトバンクと比較すると相対的に立ち上がりは遅れている」(ICT総研)ようだ。

エリア別にみると、新千歳空港で下り47.10Mbpsと高い数値を記録したこともあり、札幌エリアで下り11.67Mbps、上り5.46Mbpsを記録し、トップとなった。だが、首都圏や広島エリアでは次点となっている。

各所で安定した速度を記録し、LTE受信エリアであれば平均通信速度も比較的高速だったauだが、LTE受信地点数は200地点中126地点(63%)と最も少なかった。

最後にNTTドコモだが、同社の平均通信速度は下り7.95Mbps、上り1.66Mbpsと3社の中で最も低い数値となった。特に上り通信速度が他社比較して極端に遅いことがわかった。

エリア別では、高松エリアで下り15Mbps超を記録し他社を大きく引き離した。これは、サンポート高松で49.19Mbps、栗林公園で33.48Mbpsといったように高松エリアの代表的観光地で高い数値を記録したことに起因する。一方、関西、仙台、福岡などでは下り5Mbps台と苦戦を強いられた。

ICT総研ではドコモの調査結果について、「同社のLTEサービス『Xi』の累計契約者数が500万人を突破するなど、利用者数が多いため、トラフィックに余裕がなく、本来持っているスペック(下り75Mbps、上り25Mbps)をユーザーが活用できない状況にあると見られる」としている

ソフトバンクのLTE受信地点数は全国で90%以上という結果に

今回の調査対象となった全国200地点でLTEを受信できた地点数は、ソフトバンクが180カ所、NTTドコモが129カ所、auが126カ所だった。大学や住宅街など市街地から離れた場所を調査地点に含めたうえに、全国で幅広く実測したにもかかわらず、3社ともに半数以上の地点でLTEを受信することができた。特にソフトバンクはLTEカバー地点率が90%と群を抜いて高かった。

繋がりにくい印象があるLTE通信サービスだが、今回のICT総研の調査では、かなりの場所で利用できている。とりわけ、ソフトバンクの「4G LTE」のカバー率は特筆に値する。LTE通信エリアの拡充については、各社ともに力を入れている。今後も各社のエリア展開に注目したい。