帝国データバンクは5日、日中関係悪化に関する企業の意識調査の結果を発表した。同調査は、10月19日~31日の期間にインターネット上で行われ、全国の企業1万534社から有効回答を得た。それによると、中国との関係悪化により約3割の企業が「悪影響」を受けていることが分かった。

中国との関係悪化による、現在の自社への影響について尋ねたところ、29.6%が「悪影響」と回答。一方、「影響はない」は45.2%、「分からない」は24.6%、「好影響」は0.6%となった。

業界別で見た場合、「悪影響」の割合は『製造』が38.9%、『運輸・倉庫』が38.2%とともに約4割を占め、特に『製造』のなかでも「輸送用機械・器具製造」は61.2%、「機械製造」も51.8%と半数以上に上った。

中国との関係悪化による影響について「悪影響」「好影響」「影響はない」と答えた企業7,945 社に対し、今回の日中関係の悪化前と比べた売り上げ(通期ベース)への影響について聞くと、33.6%が「減少」と回答し、3社に1社が売り上げの減少を見込んでいることが分かった。それに対して、「変わらない」は52.9%、「増加」は1.7%だった。

業界別に見ると、「減少」と答えた割合は『製造』で43.4%、『運輸・倉庫』で46.5%とともに4割以上となった。

直接、中国の企業や政府などと事業(直接貿易、業務委託、直接投資など)を「行っている」企業は全体の16.0%(1,687社)。このうち「悪影響」と回答した割合は55.5%と過半数を占めた。

中国と直接事業を「行っている」と答えた企業に対し、具体的な影響を質問したところ、最も多かったのは「中国への出張、渡航の自粛」で39.4%。以下、「税関での手続きの遅延」が31.0%、「中国での(からの)調達、仕入れの困難化」が11.6%と続いた。

日中関係の悪化を受けて、中国に対する今後(2~3年程度)の事業についてどのように考えているか尋ねると、中国と直接事業を「行っている」企業では、「現状の事業規模を維持」が54.5%でトップ。次は「事業の縮小、撤退を検討」で15.5%となった。

今回の日中関係の悪化を受けて、自社にとっての中国に対する市場(消費地)および生産拠点(生産地)としての魅力がどのように変わったか聞いたところ、市場(消費地)については29.5%の企業が「低下」(「魅力は低下」22.0%、「魅力はなくなった」7.5%)、生産拠点(生産地)については35.4%の企業が「低下」(「魅力は低下」21.9%、「魅力はなくなった」13.5%)と回答。企業からは、「中国の反日感情は、今後も何か問題がある度に出てくると思われ、東南アジアへ販売先をシフトしていく予定」(再生資源卸売、東京都)など、他国へシフトする考えも見られた。

市場、生産拠点としての魅力