自身が最大の強みとしてきたエンタープライズ市場でのシェアをAppleのiPhoneといったライバル製品に侵食されつつある加Research In Motion (RIM)のBlackBerryだが、その最大のユーザーの1つである米国防総省は他のデバイス利用の道を開きつつも、引き続き大量のBlackBerryを継続利用していくことを表明している。
同件は英Reutersが報じている。それによれば、同省は先週、技術企業関係者に対してAppleやGoogleを含むさまざまなメーカーの製造するデバイスを管理するソフトウェアの来年2013年4月の入札についての説明を行ったという。国防総省(DOD)ではその厳しいセキュリティ要件から条件を満たすデバイスやソフトウェアの数が少なく、RIMのBlackBerryはその数少ない米政府の御用端末として広く利用されてきた。だがDODの一部機関ではすでにRIMとの契約を終了してiPhoneの利用を進めるなど、他の傘下機関幹部からのよりモダンなデバイスを利用できるようにすべきとの声が高まっている。今回の調達で他のデバイス利用についても言及が行われたのは、こうした気運が背景にあるためとみられる。
一方でDOD自体はBlackBerryの利用を終了することに否定的だ。すでにBlackBerryで大量のメールリクエストを処理しており、こうしたスケーラビリティの実現や移行の手間などがハードルになるとみられるためだ。提案書の要件によれば、入札対象となる管理ソフトウェアでは少なくともスタート時点で16万2500の端末をサポートし、1年の契約完了時点で26万2500までの端末増加に対応する必要があるという。最終的には800万端末程度の管理が視野に入っているようだ。ゆえに強力な管理ソフトウェアに加え、これだけの端末の受け皿が必要になるということだ。この管理ソフトウェアはMDM (Mobile Device Management)と呼ばれるが、RIM自身もBlackBerry Mobile Fusionという形で複数プラットフォームの同時管理を可能とするソリューションを持っており、この入札でMDM分野でのライバルらと争う形になるだろう。