シーンモードでは、指定された撮影状況に合わせて、最適な設定をカメラが自動的に選択。ポートレート、スポーツ、風景、ペット、クローズアップといったおなじみのものから、キャンドルライト、桜、シルエット、ハイキー、ローキーなど多彩なモードを揃えている。このことこそが、D600のキャラクターを色濃く表しているといっていい。そう、絞りとシャッター速度の関係や、感度設定など細かなことはわからなくても、愛息・愛娘の運動会での雄姿やかわいいペットの表情をキレイに、素敵に撮りたい! そんなユーザーの純粋かつ身勝手な熱意にも、高い実力で確実に応えてくれるのだ。

シーンモード「ハイキー」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモード「ローキー」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモード「キャンドルライト」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモード「花」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモード「夜景」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモード「夜景ポートレート」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

シーンモードを使って感じたのは、初心者だけでなく、中級者以上でも十分使える機能だということだ。というのも、AF性能の高さや高感度処理の美しさ、内蔵フラッシュの調光を含む露出の上手さなど、D600の足回りの確かさがシーンモードを支えてくれている。したがって、画作りに関する煩わしい部分をカメラに安心して任せられるのである。撮り手は、構図とシャッターチャンスだけに集中すればいい。瞬時の判断や特別な集中力、失敗できない確実さを要求されるとき、D600のシーンモードは強力な味方になってくれる。

撮影後の楽しみもある。RAW撮影した画像の色調や明るさ、コントラストはもちろん、[A1](標準)、[A2](電球色を残す)が選べるホワイトバランスや、ヴィネットコントロール、D-ライティングなどの設定をPCを使わずに調整できるカメラ内RAW現像に加え、セレクトカラー、傾き補正、ゆがみ補正、カラースケッチ、ミニチュア効果といった豊富なフィルターを利用できる。Webや雑誌で見たような印象的な写真を撮りたいけれど、どう撮ればいいのかわからない。そんな方にもうってつけだろう。

画像編集メニュー。PCに読み込まずとも、必要なことはほぼできてしまう充実ぶり

RAW現像メニュー。効果をプレビューしながら適用できるのが便利だ

オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

左はJPEG撮影した写真。右はRAW撮影したものをカメラ内現像(パラメーターはデフォルト)でJPEG出力した写真。右の方がはるかに解像感が高い

画像編集「カラースケッチ」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

画像編集「セレクトカラー」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

画像編集「ミニチュア効果」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

画像編集「魚眼効果」(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット)

価格と使いやすさで従来のフルサイズ機の常識を大きく覆したD600、デジタル一眼レフの購入を考えている方々へ、今もっともオススメしたい製品だ。もちろん、初心者にも手放しですすめたい。いやむしろ、機敏で画質が良く、使い方が容易で性能限界が高いカメラは初心者にこそ必要だ。

ただひとつ、2,426万画素のJPEGは約10MB、RAWに至っては30MBを超えることは覚えておきたい。RAW現像はいうまでもなく、JPEG画像をひとつ開くだけでも、PCには相応のパワーが求められる。D600ユーザーになるためには、年季の入ったPCシステムを丸ごと入れ替える覚悟もまた必要なのだ。

【動画】D600で撮影した動画

撮影:青木明子
撮影協力:ジュニアダンス・スキップカンパニー