AF回りも充実している。レンズサーボは「AF-S(シングルAFサーボ)」、「AF-C(コンティニュアスAFサーボ)」、「AF-A(AFサーボモード自動切り換え)」を選択可能。AF-A時には、被写体を自動判定して、自動的に予測駆動フォーカスに移行する。
フォーカスポイントは9点のクロスタイプセンサーを含む計39点。うち、中央7点はf/8まで対応する。フォーカスポイントの数が多い割にはやや中央に集まりすぎているきらいはあるが、ここは割り切るべき部分だろう。なお、被写体があまり動かない場合や、電車のように動きが予想しやすいときは、フォーカスポイントを9点あるいは21点に設定すると効率良くフォーカスできるようだ。
逆に、子どもやペットなど、どちらへ動くのかわからない被写体に対しては、ニコンのお家芸「3Dトラッキング」が便利。狙った被写体にポイントを合わせてシャッターボタンを半押しすると、被写体の色と輝度のパターンを認識、半押し中は39点すべてを使ってフォーカスを合わせ続けてくれる。
レンズ:AF-S NIKKOR 24-85mm f/3.5-4.5G ED VR、F値:f/4.5、露出時間:0.0125秒、ISO800(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)、F値:f/5.6、露出時間:0.0125秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)、F値:f/11、露出時間:0.0062秒、ISO100(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)、F値:f/7.1、露出時間:0.0008秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)、F値:f/8、露出時間:0.0125秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
レンズ:AF-S VR Zoom Nikkor ED 70-300mm F4.5-5.6 G(IF)、F値:f/8、露出時間:0.001秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
スピードライトSB800を装着してバウンス撮影。レンズ:SP AF90mm F/2.8 Di MACRO 1:1、F値:f/8、露出時間:0.008秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
また、ライブビュー時と動画撮影時には、最大35人まで認識できる顔認識AFと、フルタイムでピントを合わせ続けてくれる、動画撮影に特に便利な「AF-F(常時AFサーボ)」も使用可能だ。ちなみに、ライブビュー時のAFシステムであるコントラストAFもまた、D4やD800と同等という豪華さ。低価格フルサイズ機というポジションにありながら、D600はつくづく出し惜しみの少ない、破格のハイコストパフォーマンスを持つ製品だと思う。
被写体を追い続けるために不可欠なのは、ファインダー性能だ。このファインダーが大きく、見やすくなることもまた、フルサイズならではの利点といえる。D600のファインダーは倍率こそ0.7倍(50mm f/1.4レンズ使用、∞、-1.0 m-1のとき)ながら、それでもAPS-Cモデルのそれとは見やすさに雲泥の差がある。もちろん、視野率は100%だ。これは動体を追う場合の大きなアドバンテージとなるだけでなく、マニュアルフォーカス撮影時の強い味方にもなってくれる。
ちなみに今回、銀塩時代から使用しているAiニッコール(古いマニュアルレンズ)でも撮影を行ってみたが、十分に実用的だと分かった。ニコンは古くからマウントの規格を維持してくれているので、旧式のレンズ資産をそのままの焦点距離で使うことができる。レンズによっては周辺減光が目立つものもあるが、それもオールドレンズの味というもの。どうしても気になるようなら、D600の「ヴィネットコントロール」機能で周辺減光を補正してやれば良い。
Ai Nikkor 24mm F2.8Sを装着。マニュアル撮影モードおよび絞り優先モードで使用できる |
マニュアルレンズ装着時の表示。F値欄の△印はレンズ設定をおこなっていない状態を表しており、数値(この場合「2」)は開放値からの絞り段数を表している |
一方、D300系やD7000などをはじめとするAPS-Cサイズのセンサーを持つDXフォーマット機用のレンズ(DXレンズ)も装着可能。DXレンズ装着時は、センサーの中心部分(APS-Cセンサー相当の大きさ)だけを使用して画像を記録する。DXレンズを付けるとDXフォーマットモードに自動的に移行するよう設定も可能。このように、オールドレンズやAPS-Cフォーマット用レンズなど、今まで使い続けてきたレンズ資産を無駄にすることなく活用できるのはニコンだけだ。
オールドレンズながら思った以上に端正な写り。フィルム時代の画角がそのまま楽しめるのはフルサイズならではだ。レンズ:Ai Nikkor 24mm F2.8S、露出時間:0.00125秒、ISO400(オリジナル画像を見る:6,016×4,016ドット) |
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