先日RTM段階に入ったMicrosoftの次期オフィススイート「Office 2013」は、ユーザーにとってだけではなく、Office拡張機能を開発する開発者にとっても、Web統合による開発の幅の拡大、Officeソリューションを集めたOfficeストアといった気になる新機能が用意されており、注目される。そんな中、Officeブログが「Word 2013」における開発者向けのオススメ機能として、以下のような5つの機能を紹介している。
1. Apps for Officeでクラウドのパワーを活用
HTML5やJavaScriptなどのWeb標準技術を利用してOfficeの拡張機能やソリューションを開発する新しい方法として、「Apps for Office」を提供する。これはOffice開発者向けに実装され、プロモーションおよびマネタイズの場となる。Wordでは、Wordの機能を拡張するタスクペインアプリをサポートし、Office Open XML経由でのコンテンツのインポート/エクスポートが可能。これにより、フォーマットされたテーブル、画像、キャプションなどを挿入できるとのことだ。
Officeブログの記事では、ドキュメントにXMLデータを埋め込んだカスタムXML部分やデータバインド機能を活用したソリューション例として、XML形式の経費データから動的に請求書を生成するなどのシナリオを挙げている。カスタムXML部分を利用するためのサンプルアプリも公開されているので、ぜひチェックされたい。
2. コンテンツコントロールをさらに改善
Wordが持っている構造化ドキュメントのエディタとしての機能を拡充し、「Word 2007」で導入したのがコンテンツコントロールだ。「Word 2013」ではこのコンテンツコントロールがパワーアップし、使いやすくなるという。
具体的な改善点としては、外観を強化し、文書作成者が個々のコンテンツコントロールに対するビジュアルスタイルを選択できるようになるほか、コントロールの色も更新できる。ビジュアルスタイルではカスタマイズの幅が広がり、「Office 2010」と同じようなボックス表示に加え、「タグ」と「表示なし」のオプションが加わった。タグは複数のコントロールが入れ子になっているときに便利で、表示なしはユーザーがコントロールについての情報が不要なときに便利だという。これらの設定は、コンテンツコントロールのプロパティから設定できる。
3. リッチテキストコンテンツコントロールをバインド可能に
開発者からニーズが多かったという機能がこれだ。次期版ではリッチテキスト形式のコンテンツコントロールがカスタムXML部分でバインドできるようになった。これまでと同じ方法でバインドできるが、後述するXMLマッピングペインも利用できる。
4. 反復コンテンツコントロール
同じく開発者からの要望が多かったのが、文書の作成者が他のユーザーによる表や構造化データのマッピングを許可する機能だ。「Word 2013」では、行を追加できる「反復コンテンツコントロール」という新しいコンテンツコントロールタイプを用意する。これにより、たとえばユーザーが経費報告書で各項目に費用明細を記す行を追加するといったことができるという。この反復コンテンツコントロールは、カスタムXML部分にもバインドできる。
5. XMLマッピングペイン
コンテンツコントロールへのXMLマッピング設定が難しいというフィードバックを受けて、「Word 2013」ではXMLマッピングタスク用のペインが導入される。これは「開発」タブから利用できる機能で、カスタムXML部分の追加やコンテンツコントロールへのコンテンツのマッピングを容易に行えるとのことだ。
なお、同記事は最後に、これまでのやり方に慣れた開発者に対して、引き続きVisual Basic for Applications(VBA)、Visual Studio Tools for Office(VSTO)、COMアドインを利用した機能拡張開発もサポートすると述べている。したがってこれまで同様の開発スタイルがすぐに通用しなくなるわけではないが、今回導入される新機能も存分に利用できるよう、準備は怠りなくしておいたほうがよさそうだ。