帝国データバンクは30日、シャープグループの下請け企業実態調査の結果を発表した。それによると、同グループの下請け企業の合計は全国で1万1,971社、総従業員数は67万7,561人に上ることが明らかになった。

シャープグループとは、シャープ本体を含め、同社の2011年度・有価証券報告書に記載がある国内連結子会社および持ち分法適用関連会社など計15社が調査対象。抽出条件は、製造業、卸売業、サービス業の3業種(食品・繊維など同グループの本業と関連の薄い業態は除く)で、資本金3億円以下の企業(個人含む)を下請け先としている。

同グループの下請け企業1万1,971社のうち、一次下請け先(仕入れ先)は1,868社、一次下請け先と取引を行う二次下請け先は1万103社だった。

下請け企業の合計を都道府県別に見た場合、トップは東京都の3,245社(構成比27.1%)。以下、2位は堺工場などがある大阪府の2,740社(同22.9%)、3位は神奈川県の745社(同6.2%)となった。主な生産拠点のある県を見ると、広島県は280社で9位、三重県は195社で11位、栃木県は148社で15位、奈良県は136社で16位などとなり、いずれも上位にランクインした。

業種別について見ると、一次下請け先で最も多かったのはソフト受託開発で183社(構成比9.8%)。次いで、産業用電気機器卸の174社(同9.3%)、事務用機械器具卸の93社(同5.0%)、パッケージソフト業の72社(同3.9%)、精密機械器具卸の61社(同3.3%)となった。一方、二次下請先では、産業用電気機器卸が719社(同7.1%)で最多。以下、ソフト受託開発の534社(同5.3%)、化学製品卸の247社(同2.4%)、工業用樹脂製品製造の220社(同2.2%)、鉄鋼・同加工品卸の213社(同2.1%)と続いた。

2011年度(2011年4月期~2012年3月期)および2010年度の直近2期の業績が判明した1万393社について調べたところ、2011年度の売上高が前期を下回った「減収企業」が4割以上の4,431社(構成比42.6%)、うち、2期連続減収企業は1,575社(同15.2%)となった。2010年度の減収企業数4,188社と比べると5.8%増加しており、直近の売上推移からも下請け企業周辺の経営環境が悪化している現状がうかがえる。

下請企業の直近業績(減収企業数)

帝国データバンクは今後の見通しについて、「今後のシャープグループの業績動向および再建の行方次第では、直接、間接に取引関係がある下請先の倒産増加が予想されるほか、多数の雇用を抱える地域経済へのさらなる影響拡大が懸念される」と分析している。