先週、日本の電子書籍市場が大きく動いた。23日にAppleがタブレット端末の「iPad mini」を発表し、さらに翌24日にはAmazonが電子書籍リーダー端末の「Kindle」を日本国内で販売することを発表したのだ。すでにGoogleからは「Nexus 7」が発売になっており、これでいよいよ本命の電子書籍リーダーが出そろったといえるだろう。
しかし人間とは贅沢なもので、選択肢が増えたら増えたで迷いが生じてしまうのだ。現に筆者も今、どのタブレット端末を買うか眉間にシワを寄せて考えている最中である。
とはいえ、この中でiPad miniは別枠と考えていい。AndroidではなくiOSだし、価格もやや高価だ。iPad miniと比較するべき相手は、他の2つではなく第4世代iPadではないだろうか。
一方でNexus 7とKindleは同じAndroidであり、スペックも価格もかぶっている。おまけにアプリをインストールすればNexus 7でもkindleストアの書籍を読めるのだ。こうなると、現実的に考えて、両方を買うというのは考えにくい。そこで今回は、Nexus 7とKindleの両機種をスペックや価格面で比較し、どちらを選ぶべきかを考察してみようと思う。
Kindle Fire HDとNexus 7のスペックの違い
まずは両者のスペック詳細を比較してみよう。
Nexus 7 | Kindle Fire HD | |
---|---|---|
ディスプレイサイズ | 7インチ | 7インチ |
ディスプレイ解像度 | 1280x800(216ppi) | 1280x800(216ppi) |
容量 | 16GB | 16GBまたは32GB |
本体サイズ(横×縦×厚さ) | 198.5mm×120mm×10.45mm | 193mmx137mmx10.3 mm |
重量 | 340g | 395g |
バッテリ | 10時間 | 11時間 |
CPU | クアッドコア 1.3GHz Tegra 3 | デュアルコア 1.2GHz OMAP4460 |
RAM | 1GB | 1GB |
カメラ | フロントカメラのみ120万画素 | フロントカメラのみ100万画素(予想値) |
ストア | Google Play | Amazon Appstore |
価格 | 1万9,800円から | 1万5,800円から |
うーん……。こうして並べてみるとスペック面では予想よりもさらに拮抗していることがわかる。
まずディスプレイについては大きさ、解像度共にまったく同じ。実際に並べてみると見え方が異なる可能性はあるが、少なくともスペック上での違いはない。カメラはどちらもフロントのみで、画素数についても実用上での差はほとんどないだろう。そもそもカメラを基準にして選ぶ人も少ないだろうし。
となると、明確に違うのは「重量」と「CPU」である。特に筆者が特に気になったのは「重量」だ。
というのも、Nexus 7の340グラムに対し、Kindle Fire HDは395グラムと、55グラムもの差があるのである。
55グラムなんて大したことないのでは? と思うかもしれないが、55グラムといえば1円玉55枚分である。袋の中に1円玉を55枚つめこんで、カバンに入れた状態を想像してみるといい。55グラムは意外と馬鹿にできない重さなのだ。
しかも7インチタブレットは、明らかに持ち歩くことを想定して作られた端末である。たとえば電車の中でタブレットで本を読むとき、片手で長時間持つというスタイルが主になるはず。そのとき、55グラムの差はじわじわと効いてくるのではないかと思う。
一方で、CPUもNexus 7の方が高性能だ。ただしKindle Fire HDも決して低スペックというわけではなく、電子書籍リーダーとしてはもちろん、ブラウジングや動画再生など多くの場面で不満を感じることはないと思われる。もし差が出るとしたら、可能性があるのは高画質で重いゲームを遊ぶときくらいだろうか。ハードの性能をギリギリまで使うような最新のゲームで遊ぶのであれば、CPUは高性能であるにこしたことはない。