Windows 8に対応した「HD革命/CopyDrive Ver.5」登場
10月26日に登場するWindows 8は、BIOSに取って代わり今後主流になるUEFI(Unified Extensible Firmware Interface:ユニファイドエクステンシブルファームウェアインターフェース)を本格的にサポートしている。そもそもマザーボードに搭載されたBIOSは「Basic Input/Output System」の略称であり、ハードウェアを直接操作するためのプログラムとして、DOS時代に誕生。現在では、より高いパフォーマンスや一貫性を求めるため、OSが直接ハードウェアを管理するのが一般的となった。
このように古い設計であるBIOSに置き換わる存在が前述のUEFIである。BIOSと比べると高速に起動し、グラフィカルなメニューを使用可能になるなど数多くのメリットが存在するが、最大の特徴はGPT(GUID Partition Table)の存在だ。BIOSで使用されるMBR(Master Boot Record)はその古い設計から管理するディスク容量に制限がある。
MBRには起動処理を行うソフトウェアのブートストラップローダとディスクの分割領域を管理するパーティションテーブルが含まれており、設計の古さから2テラバイトまでしか管理できないのだ。その一方でGPTは8,589,934,592テラバイトに相当する8ゼタバイトまで管理可能。想像の域を超える容量だが、10年や20年の間は「○○の壁」と称される大容量HDD(ハードディスクドライブ)登場時に対応が難しくなるような問題は発生しないだろう。
このGPTはBIOS上でも使用可能だが、その範囲はWindowsの場合、64ビット版に限られている。UEFI環境におけるWindows 8は検証していないが、Windows Vista Service Pack 1以降であれば、GPT管理下のディスクアクセスはもちろん、OSの起動も可能。厳密にはIA-64アーキテクチャのWindows XP 64-bit Editionは以前からUEFI環境でのGPT管理ディスクからの起動をサポートしているが、あまり一般的な例ではない(図01)。
2011年頃からコンシューマー向けコンピューター市場に出回るようになったUEFI搭載のマザーボードにより、今後はBIOSからUEFIに移行し、ディスクの大容量化が加速することは火を見るよりも明らかである。目前に差し迫った大容量データ時代に対して用意すべきは、これらの環境に対応したユーティリティーツールではないだろうか。そこでアーク情報システムの「HD革命/CopyDrive Ver.5」に注目し、その機能を検証する。
「HD革命/CopyDrive Ver.5」は、HDDやSSD(ソリッドステートドライブ)を対象に、ディスクの複製を行うアプリケーションだ。ディスクのコピーを行うシチュエーションとして、より大容量のディスクに移行するなどの場面を想定できるが、サイズの異なるディスクへのコピーにも対応しているため、別途パーティションサイズを変更するアプリケーションを用意する必要はない。また、特定のパーティションを対象にコピーする機能も備わっているため、内蔵ディスクの換装やバックアップの作成といったさまざまな用途に用いることができる。
前バージョンである「HD革命/CopyDrive Ver.4」から数えると2年ぶりのバージョンアップとなるが、最新版における最大の特徴はWindows 8への対応だ。本製品をWindows 8を搭載したコンピューターにインストールすると、Windows 8のスタート画面に同社製品ではお馴染みの「Arkランチャー」がタイルとしてピン留めされる(図02)。
UI(ユーザーインターフェース)の刷新により、デスクトップアプリの起動には戸惑う場面が増えそうだが、あらかじめスタート画面に必要なショートカットファイルだけが登録される仕様に変更されたのはシンプルでよい。また、新たな機能としてディスクを完全コピーする「ディスククローンツール」の搭載と、ディスクコピー時にMBRディスクからGPTディスク、またその逆の変換機能を備えている。前述した条件を踏まえ、GPTディスクへの移行を思案しているユーザーには注目の新機能となるだろう。
なお、以前のバージョンと同じく、ディスクのコピー機能をすべて備える「HD革命/CopyDrive Ver.5」。すべての機能を備えると同時にパーティション操作を行うソフトウェアをセットにした「同 with Partition EX2」、そして、Windows 8へはインストールできず、一部機能は制限されているものの価格設定が安価な「同CD起動版」の3種類が用意されている。この他にもアップグレード版や教育関係者向けのアカデミック版、ダウンロード版も用意されているので、使用用途に合わせて選択できるだろう(図03~05)。
図03 パーティション操作を行うソフトウェアがセットの「HD革命/CopyDrive Ver.5 with Partition EX2」 |
図04 すべてのディスクコピー機能を備える「HD革命/CopyDrive Ver.5」 |
図05 光学ドライブからの起動に限定した「HD革命/CopyDrive Ver.5 CD起動版」 |
それでは、次ページから「HD革命/CopyDrive Ver.5 スタンダード」を対象に、新たに備わった新機能やWindows 8上での操作性などを検証する。