俳優の役所広司、女優の草刈民代らが、24日、東京・TOHOシネマズ六本木ヒルズで開催中の第25回東京国際映画祭で行われた、映画『終の信託』公式上映舞台あいさつに出席した。

左から、周防義和、種ともこ、草刈民代、役所広司、周防正行監督 拡大画像を見る

映画『終の信託』は、朔立木の同名小説が原作の終末医療現場で描かれる医師と患者の深遠なラブストーリー。呼吸器内科の医師・綾乃(草刈)は、不倫関係にあった同僚の高井(浅野忠信)に捨てられ傷ついた心を、喘息で入院していた患者・江木(役所)の優しさに癒される。江木は病状が悪化する中、綾乃に「最後の時は楽にして欲しい」と懇願する――というストーリーで、映画は27日から全国公開。

舞台あいさつには、役所、草刈のほか周防正行監督が出席し、役所は「僕も出演していますが、観た後は、最後はどういう風に何を伝えたいか考えました。僕と同年代の方たちは、自分の"終の信託"を誰にどうやって伝えようか考えると思う。家族で観ると絆が深まる作品」とあいさつし、草刈は「その人が生きてきた中の経験はみんな違うので、感じるものは人それぞれ。人生に何か影響を与えてくれる作品になったのかなと思います」と自信を持ってアピール。同作は、第36回山路ふみ子映画賞の受賞が決定しており、役所は「歴史があって権威のある賞をいただけて光栄です」と受賞を喜んだ。

「小説を読んで、人と人が向かい合った時に生まれる空気感が色んな形で書かれてたので、それを映像で表現したかった」と製作の経緯を語った周防監督は、“終活”ムービーとして話題になっていることについて「とても身近な問題ですが、終末医療や“終活”に魅かれたわけじゃない。社会の動きや今の日本の空気を吸って、この映画は生まれました」とコメント。また、イベントには、同作の音楽担当を務めた周防監督の従兄弟でもある周防義和とエンディング曲「遠く、そして近く」を歌ったシンガーソングライターの種ともこも出席。同曲をしっとりと歌い上げた種は「大好きな周防監督の映画に関わることが出来て、とてもうれしい。誰もが死ぬので、自分のこととして観てもらえる映画だと思う」とPRした。