我々日本人には直感的に理解できない単語が用いられることが多いコンピューターの世界。新たに登場するWindows 8を踏まえつつ、Windows OSで用いられる単語(=キーワード)を個別にピックアップし、詳細な解説をお送りする。今回取り上げるキーワードは、Windows 8で動作するアプリケーションの呼称、「Windowsストアアプリ」「デスクトップアプリ」だ。

Windows 8キーワード一覧

「アプリバー(App Bar)/ナビゲーションバー(Navigation Bar)」とは
「タイル/ライブタイル(Tile/Live Tile)」とは
「スタート画面(Start Screen)」とは
「チャーム(Charm)」とは

「Windowsストアアプリ(Windows Store app)/デスクトップアプリ(Desktop app)」

Windowsストアアプリ(Windows Store app)とデスクトップアプリ(Desktop app)

Windows 8上で動作する専用のアプリケーションと、従来のデスクトップ環境で動作するアプリケーションの呼称。Windows 8では、従来のWin32 APIなどとは異なる独自のプログラミングモデルとして、WinRT(Windows Runtime)を実装し、Windowsストアアプリを実行している。このバックボーンとなるのがWinRTであり、他のアプリケーションやシステムに影響を与えないようにするため、Immersive(没入型)と称されることも(図01~02)。

図01 スタート画面に並ぶWindowsストアアプリとデスクトップアプリ。執筆時点では、タイル全面を使用しているのが前者。従来のアイコンをタイルに載せているのが後者となる

図02 WinRTは従来のWin32などと異なり、独立した状態で動作する(画像はBUILD 2011セッション資料より)

Windowsストアアプリは、Windows 8をインストールしたコンピューターのバッテリー消費軽減や物理メモリを効率よく使用するために、他のWindowsストアアプリを起動してバックグラウンドタスクに移行する際は一時停止する仕組みが用いられている。また、一定時間タスクが動作しないと使用している物理メモリを解放して再利用する仕組みを用いて、Windows 8の安定動作に寄与しているのだ。

従来のWindows OSを使ってきた方に馴染み深いのは、デスクトップアプリだろう。文字どおりデスクトップ上で動作するアプリケーションを差し、Windowsストアアプリと区別する意味で新たに用いられた呼称である。だが、中身はWindows API(Application Programming Interface:簡潔にプログラムを記述するためのインターフェース)というプログラミングモデルを使用しているため、Windows 7やWindows Vista上で動作するアプリケーションは、そのままWindows 8でも動作することが多い。

また、Internet Explorer 10のようにWindowsストアアプリ版とデスクトップアプリ版が用意されたアプリケーションが存在する。これは、UX(User Experience:ユーザーエクスペリエンス)がまったく異なる両環境にWebブラウズ環境を提供するためだ。なお、Mozilla FirefoxやGoogle ChromeもWindowsストアアプリ版の開発を推し進め、Windows 8でもいわゆるWebブラウザー戦争は引き継がれそうである(図03~04)。

図03 Windowsストアアプリ版のInternet Explorer 10。アプリバーやアプリコマンドで操作する

図04 デスクトップアプリ版のInternet Explorer 10。以前と同じくボタンやコンテキストメニューなどを用いて操作する

阿久津良和(Cactus