日本百貨店協会は22日、9月の全国百貨店売上高概況を発表した。それによると、9月の売上高総額(店舗数調整後)は前年同月比0.2%減の約4,339億円で、5カ月連続で前年割れとなった。調査対象は86社249店舗。
詳細を見ると、9月は月初めから中旬まで残暑が長引いた影響により、本格展開がスタートした主力の秋物衣料が月の前半低調に推移。また、入店客数については前年同月比で60店舗が減少、39店舗が増加、29店舗が変化なしとなっており、2度にわたる台風や大雨などの天候不順が響き入店客数も伸び悩んだと推測される。
一方、UV対策や改装・新ブランド効果が背景にある化粧品は好調に動いたほか、好況に停滞感がみられた高級時計や宝飾品などの高額商材(美術・宝石・貴金属)も再び勢いを取り戻した。しかし、前半の秋物衣料の不振を全て補うまでには至らず、最終的には前年実績を若干割り込んだという。
また、訪日外国人売上高は前年同月比0.6%増、購買客数同9.1%増となったが、3~4割程度の伸び率で推移していた8月までの状況と比べると小幅な伸びにとどまった。これは、尖閣問題の影響が一部に出ているためと考えられる。
地区別に見た場合、基幹店改装の進捗度合いが地区別の商況に反映し、改装が完了した東京は前年同月比0.7%増の1,082億円、名古屋は同5.1%増の270億円、神戸は同2.7%増の115億円と前年実績を上回った。他方、改装工事による売場縮小の影響を受けた横浜は同0.6%減の249億円、大阪は同1.4%減の568億円と前年を下回る結果となった。
10都市(札幌、仙台、東京、横浜、名古屋、京都、大阪、神戸、広島、福岡)の売上高は、前年同月比0.3%増の2,870億円で5カ月ぶりのプラス。それに対して、10都市以外の地区(北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州)では、同1.3%減の1,469億円で6カ月連続のマイナスとなった。
商品別に見ると、主要5品目では、身のまわり品が前年同月比0.9%増の569億円で5カ月ぶり、雑貨が同3.7%増の685億円で3カ月ぶりのプラス。一方、衣料品は同2.2%減の1,471億円、家庭用品は同1.7%減の222億円、食料品は同0.4%減の1,107億円となった。このほか、美術・宝飾・貴金属は同7.1%増の237億円、家具は同2.0%増の611億円でともに3カ月ぶりのプラス、その他食料品は同0.6%増の318億円で4カ月ぶりのプラス。また、化粧品は同4.8%増の272億円、菓子は同0.1%増の278億円でそれぞれ2カ月連続のプラスとなった。