ベン・アフレックが、監督と主演を務める映画『アルゴ』のプレミア試写会が12日、都内で行われ、大ヒットゲーム『メタルギア』シリーズを手がける小島秀夫監督が登場した。
本作は、1979年のイランで発生したアメリカ大使館人質事件を題材にした作品。52人の人質の中からなんとか逃げ出すことに成功したアメリカ人の6人は、カナダ大使の自宅に身を隠したものの、CIA救出作戦のエキスパートであるトニー・メンデス(ベン・アフレック)の提案により、"ニセの映画製作"計画を実行。意表をつく救出劇を描いている。
『僕の体の70%は映画でできている―小島秀夫を創った映画群』を執筆するなど、自他共に認める映画好きの小島監督は「今年だと『ドライブ』や『別離』などが良かったのですが、それらを凌いで『アルゴ』が1番。オープニングから伝わる恐怖、ハリウッドへの皮肉、入国審査から出国するだけなのに緊張感がみなぎっている空港シーンの緊迫感など、考えつかないような発想で映像にしています」と本作に太鼓判を押した。
監督としては第3作目となるベン・アフレックについては「『パール・ハーバー』『アルマゲドン』『デアデビル』など主演作で、いかにもアメリカ俳優といったイメージがあり敬遠ぎみだった」と前置きしつつも、「初監督作『ゴーン・ベイビー・ゴーン』の原作ファンだったので見てみたら、原作の雰囲気を上手く捉えていた。続く『ザ・タウン』で3段階くらい上に行った印象。強盗シーンは『ダークナイト』のクリストファー・ノーラン、カーチェイスは『ボーン』シリーズのポール・グリーングラス、ガンアクションはマイケル・マンばり。すっかり惚れましたね。これまでの作品は舞台が彼に身近な内容でもあったので、『アルゴ』のスケールを考えると最初は不安だった。だけど作品を見たら、更に上に行っていた」と絶賛していた。
さらに小島監督の称賛は続き、「俳優の気持ちが分かるので彼らを上手く使えている。また、"世界の監督と一緒にやってきたから、方法はわかっている"と語っていたように、良いとこ取りの演出もできている」と俳優から監督というキャリアが、どう活かされているかを分析。最後には「最終的にはクリント・イーストウッドを越えて欲しい。何より嗅覚が鋭い。ホント友達になりたいですよ」と語っていた。
すでにハリウッド映画化が発表されている『メタルギアソリッド』だが、『アルゴ』のオープニングは、『メタルギア』シリーズにも参加しているモーション・グラフィック・デザイナーのカイル・クーパーが手がけている。このオープニングの手法について小島監督は、「『トロン』『アイアンマン』の時はプロローグという自分の会社名を出しているのだけど、今回は自分の名前なので相当入れ込んでいたのかも。『メタルギア』シリーズのオープニングでも使っている手法を用いていた。本国トレーラーのシュレッダーの紙をくっつけるところをモチーフにしたセンスは凄く良かった」と同じチームで製作してきたカイルのセンスを高く評価した。
そして最後に小島監督は、映画『メタルギアソリッド』についても言及。「打合せをした感じからすると、『アルゴ』作中のプロデューサーのノリはリアルでした。ベン・アフレックに『メタルギアソリッド』をオファーしたいと言ったらプロデューサーは黙っちゃいましたが(笑)」と話して会場の笑いを誘い、「こんなに面白くてわくわくする映画はなかなかないです。映画の力を知る事も出来る映画。自信をもっておススメしたい。今の僕の20%はベン・アフレックでできています(笑)」と本作をさらにアピールしていた。
映画『アルゴ』は、10月26日(金)より全国公開。