シルヴェスター・スタローンや、ブルース・ウィリス、アーノルド・シュワルツェネッガーほか、アクションスターが多数出演する映画『エクスペンダブルズ2』がいよいよ10月20日に公開する。このアクション映画史の総決算ともいうべき同作でリーダーのバーニー・ロスを演じたシルベスター・スタローンに話を聞いた。

――再び大物揃いのキャストの中で主役のバーニー・ロスを演じることは肉体的にも精神的にも大きな挑戦だと思いますが、いかがでしたか?

シルベスター・スタローン(以下、スタローン)「さらに素晴らしいキャストが揃った。この映画は僕が携わってきたアクション映画の中でも文句なしに最高傑作になるね。新旧のアクション・スターたちが入り混じり、今回は全員がそれぞれに大活躍する、古き良きハードコアなアクション映画に仕上がったと思うよ。前作以上の出来だ、現代にありがちな目先のテクニックばかりに走った映画とは違う」

――本作では、ブルース・ウィリス演じるチャーチとアーノルド・シュワルツェネッガー演じるトレンチは、重要な物語の鍵を握る役どころでしょうか?

スタローン「バーニーとは“古い仲”のチャーチを、再びブルースが演じてくれたことはとても幸運だった。チャーチは物語の冒頭の重要な鍵を握る人物で、その正体は謎に包まれ分からない。ただ裏の世界に生き、強い権力を持った男なんだ」

――シュワルツェネッガーとの共演はいかがでしたか?

スタローン「物語の中ではライバル関係ではあるが、目的が同じなら共闘することもできる。前回はカメオ出演だけだったが、今回はトレンチが味方として戦ってくれる。長い役者のキャリアの中でもアーノルドと共演するのは初めてだよ。それだけでもこの映画を見る価値はあるね。僕たちのスタイルは対照的で、それが強烈なコントラストを生み出すと思う。アーノルドとは役へのアプローチも違うが“観る人を楽しませたい”、この想いだけは二人とも変わらないね」

――多くのスターが映画への参加を承諾することで、作品のハードルはさらに高くなったと思いますが、いかがですか?

スタローン「主役級の役者ばかりで、決して音を上げることのない連中だ。撮影が12時間続いた後でもカメラを向けられれば最高の演技を見せてくれる。素晴らしかったよ。全てのシーンや会話の中に彼らの個性が投影され、観客もその融合を楽しむことができると思うよ」

――世界中の観衆に受け入れられる“古き良き傭兵集団”を描き上げるため、手本としたのはハードなアクション映画ながら人間味あふれるキャラクターが登場する『特攻大作戦』『ワイルドバンチ』『戦争の犬たち』といった作品だったそうですね?

スタローン「まだヒーローが“生身の人間”だった頃を思い出させてくれる映画だ。特殊な能力などなく、ただ生き残りと勝利のために戦う。そこに共感したんだ。エクスペンダブルズたちも同じだ。人間として人間同士で助け合い、そこに命をかける。常識を超えたスーパーヒーローではなく、彼らも生身の人間だからね」

――今回のキャスティングについて教えてください。

スタローン「一線級のスターばかりが顔を揃えるこれまでにない試みだ。それぞれに熱狂的なファンがいて、レスリングや総合格闘技出身など、それぞれのバックグラウンドや俳優としてもキャリアにも違う。それでもその個性を束ね、ひとつにチームを作り上げることに成功したと思う。ターミネーターやジョン・マクレーン、セットに立つと彼らの代表的なキャラクターが見えてくる。それが同時に一つのシーンの中に存在し、見事に調和している。これまでも彼らとの共演のチャンスはあったかもしれないが、今日まで待った価値があった。それだけの作品が完成したからね」

今回の任務は、東欧バルカン山脈の山岳地帯に墜落した輸送機に積まれていたデータボックスの回収。その任務は彼らにとって簡単なものに思えたが、そのデータボックスに記録された機密データを狙い、ある凶悪な武装集団も行動を開始。エクスペンダブルズたちは、武装集団の卑劣な罠に陥り、データボックスを奪われ、一人の大切な仲間が命を失うことになる……

――『エクスペンダブルズ』をはじめ、7つの作品で監督を務めてきましたが、今作では『コン・エアー』『トゥームレイダー』『メカニック』などを手がけたサイモン・ウェストがメガホンを取りますよね。ウェストに監督の座を譲ることで脚本やバーニー・ロスの役作りに専念することができましたか?

スタローン「彼は素晴らしい監督だよ。彼の起用はこの作品にとっても大きな意味を持つ。世界観の広がり、ストーリー展開、映画の核心部分やアクションに至るまで、前作よりも格段に良くなっている。オープニングのシーンだけでも観客の度肝を抜くと思うよ。前作で何が足りなかったのかも学ぶことができた。ブルガリアでの撮影も僕が監督までこなしていたら、あそこまでの映像の広がりは表現できていなかったかもしれない」

――最後にあなたが思うアクションヒーローとは?

スタローン「筋肉でも超越した運動能力でもない。観客が感情移入できる要素が必要なんだと思う。手を伸ばせば触れることができる、欠点さえ見せる生身の人間。そして観客の思いや願いと一体になり、そこから物語が膨らんでいく。観る人が育て上げていくことのできるヒーローこそが本物のアクションヒーローだと思うよ」

映画『エクスペンダブルズ2』は、10月20日より全国公開。

(C)2012 Barney’s Christmas, Inc. All Rights Reserved.