360°フィルターは、大きなゴミを取るプレフィルターと、8mの長さをプリーツ状に折り畳んだHEPAフィルターで構成される。これにより、0.3μm(ミクロン)というウイルスほどの微細な粒子も99.7%の比率で集塵できるという。

交換用の「360°フィルター」

フィルターは、1年間での交換を推奨。交換用フィルターの価格は6,800円となっている。

「16畳の空間で0.3ミクロンの粒子を散布し、その除去率を測定した結果、国内の代表的な空気清浄機メーカー3社の製品に比べて、JetCleanは120%の除去率となる6.50を達成している」と寺尾社長は語る。

特に寺尾社長が強調したのが、花粉への対応だ。

「実験と研究によって分かったことは、空気清浄機で花粉を除去するのはほとんど不可能であるという点。花粉を除去するには、掃除機を組み合わせなくてはならない」と前置きしながらも、「花粉は大きくて重い粒子。これを空気清浄機で引き寄せて吸い込むには、相当の風力が必要になる。従来の空気清浄機では引き寄せられない」と説明する。

競合他社製品との粒子の除去率の比較

花粉の類似物質として利用される石松子を、16畳相当のクリーンルームに10g散布し、5分間に渡り、空気清浄機を稼働させた実験では、従来の空気清浄機では3%(0.3g)の石松子しか捕捉できなかったが、JetCleanでは38%(3.8g)の石松子を捕捉できたという。

「部屋の中に入ってきた花粉は1分足らずで床に落ちてしまう。JetCleanでは、それを強力な気流によって吸い込むために、他社製品に比べて12倍の性能を持つが、それでも約4割の花粉しか捕捉できない。これが再び舞い上がらない限り、掃除機でしか吸い取れない。その際には、唯一吸引力が下がらない掃除機を使うのがいい」と、某社の掃除機を引き合いに出すジョークを交えながら説明してみせた。

JetCleanによる各種除去能力データ

JetCleanの特徴について寺尾社長は、「性能」、「デザイン」、「使いやすさ」という3つの点から説明する。

性能については、これまでにも触れたように、花粉への対応力や高い除去率、GreenFanによる効率性を生かした強い風力などが特徴といえる。そして、デザイン性については、「部屋の中にすんなり置けて、主張せずに、美しいデザインが完成した。もっとも美しい空気清浄機だと自負している」と語る。

花粉の対応力は他社製品に比べても強い

操作面では、弱、中、強という3段階操作に限定した「マニュアルモード」ボタン、2つのセンサーによって空気の汚れを検知して自動的に動作する「オートモード」ボタン、最小限の動作に抑え、就寝時などにも静かに稼働する「セーブエナジーモード」ボタンの3つのボタンを搭載。操作はこの3つのボタンで行えるという。

また、朝の時間帯、窓を開ける換気時、洗濯物の取り組み時、料理や掃除といったホコリが舞いやすい状態のときに使用することで、部屋の空気を短時間に清浄することができる「ショートクリーニングモード」も用意している。

「中でも、掃除機をかけているときが、とくにホコリが舞いやすい状態になる。部屋の掃除の仕上げに、空気清浄機を使って、部屋の空気もきれいにするという使い方に適したモードである」と、寺尾社長は説明した。

バルミューダは、寺尾社長を中心に20人弱の社員で構成される企業だ。だが、そのユニークな発想と技術で、同社製品は市場から高い評価を得ている。今回の空気清浄機の新製品も、同社独自の技術によって、大手家電メーカーとは一線を画す空気清浄機を投入してみせた。

46,800円の価格設定は競合他社の高機能モデルに近い

大手他社がマイナスイオンなどの効能を強調しているのにくらべても、「マイナスイオンで無効化した菌は、結局、フィルターで除去しなくてはならない。それには、既存の空気清浄機では吸い込む力が弱いのではないか」と疑問を呈する。

成長著しい空気清浄機市場において、バルミューダは、独自の技術をもとに、「強い気流」という提案をしてみせた。これが、市場にどんなインパクトを与えるのだろうか。その動きが楽しみだといえる。